運営者 チャプレンとして、アメリカでやっている場合と、日本でやっている場合の一番の違いは何ですか?
小西 アメリカは個人主義の国ですから、自分の生き方とか、「神」といったことを考え慣れてる感じがします。
日本人はつらくても「いまさら考えても仕方がないし、それでどうなるわけでもないし」という感じで、あきらめてしまう傾向が強い気がします。
運営者 わかります。日本人は本当のところ、死んだ後どこに行くかというのはどうでもよくて、キリスト教徒のほうは「自分が天国に行けるか」どうかにかなりの関心を持っているように思うんですが。
イギリス人に、「お前の宗教は何だ?」と聞かれて、「別に神様は信じてませんが」と答えたら心底驚かれて、「自分が死んだ後どうなるかわからなくても、お前は不安ではないのか?」と言われたことがあります。毎週教会に出かける人でなくても、キリスト教文化の中に生きている人は、死後の不安を解消するためには宗教の助けを借りなければやっていられないわけです。
そういうビリーフであるなら神様とか、神と自分の関係を一生懸命考えようとするでしょう。でも日本人は考える必要がありません。自分が死んだ後は「地獄以外のどこかに行くんだろう」と漠然と考えています。
小西 アメリカ人は知的に物事を解決しようとする傾向が強くて、整合性のある死生観を構築しようとする傾向があるように思います。日本人の場合は、「まあそんなことは考えてもわからないことだ」と、矛盾し合う考え方を持っていたとしてもそのままにしておいても平気なような気がします。
運営者 細かいことは、日本人は丸めてしまいますよね(笑)。
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