このサイトにご登場いたいている木村剛氏の著書『リスクヘッジ経営』の中に、日本人の性癖として、以下のようなことが紹介されている。
不測の事態が起こったときに「誰かが助けてくれる」と考える
臭い物に蓋をしたがる。嫌なものを見たくない
危機に際して、投げやりになり、運命論で片づける傾向がある
これをつなげて考えると、一番やばいことになりつつあるのが、財政赤字問題だろう。国の借金は500兆円、地方自治体の赤字は180兆円と伝えられている。
しかし、誰もこれが自分の借金だとは思っていない。あまっさえ、見たくない。
自分のものでないから、誰かが何とかしてくれるのだろうと思っている。
本当にやばいことになったら、ハイパーインフレにするか通貨切り下げにするか、なにかわからないけどカタストロフィックな結末を迎えて、身の不運を嘆きつつ、また同じ間違いを一から歩み始める。
……ということになるのだと思う。
私は、どう考えてもこれはおかしなことだ、借金を減らすのは難しいにしても、なぜ増やさない努力をしないのかと常々不思議に思ってきたが、どんな要路の人も碩学も、歳出削減への道筋を示してはくれなかった。
ついに2000年度は一年で32兆円の国債が発行されるという。「国債は将来のわれわれに財産を残している」と主張し続けている学者もいて、これに対しても反論の声は小さいが、常識的に考えて「国債は将来のわれわれに対する借金」に他ならないと私は思う。
96年年末にアメリカに行った私は、マンハッタンの6番街42~43丁目あたりのビルの壁面に設置されている電光掲示板を発見した。
「OUR NATIONAL DEBT $5,257,336,718,2×× YOUR family share$68,110」
THE NATIOAL DEBT CLOCKというのである。××の部分は利子の付加により毎秒変動し、借金が常にかさんでいることを印象づけている。
私は以前から、これを国会や地方議会の議場に設置して、借金とにらめっこしながら予算案を審議すれば無駄遣いが防げるのではと思っていたが、それを町中に実際につくっている人がいるのを見て、やっばりアメリカだなあと妙に感心した。
経済ジャーナリストの財部誠一さんに、これをご紹介したところ、「面白いので公聴会で紹介しよう」ということになり、このページに掲出した写真を拡大して衆議院と参議院の予算委員会公聴会における彼の証言で紹介し、好評を博した。その後、財部誠一さんの主催するシンクタンク、ハーベイロード・ジャパンのサイト上に日本版NDC「日本の借金」時計を作成した。以下はこのサイトにリンクしている。
借金が増えていくスピードが十分実感できるだろう。 これを銀座や新宿にも作ることができないだろうか。
その後、こうしたサイト上の借金時計は、他でも作成しているがこのサイトはその元祖である。ものを考える第一歩は、まず実態をみんなが認識することから、と私は思うのだが