田中 そうか。じゃ、神社と寺の違いは何かとか。
運営者 なるほど、小学生にわかりますかね。
田中 そこを教えていくと面白いと思うんです。社会人でも知らない人がいるかもしれない。
運営者 寺であれば、最初輸入された様式は、釈迦の骨を収めていた仏塔が五重塔になり、最初はそれを中心にした四天王寺形式の伽藍配置だったのが、だんだんと塔が回廊の外に出されて今のような形になっていったとか、神社はすごく神明造のような様式を今に伝えているとか、成り立ちがありますよね。
田中 あるいは普通の家でも、三角形の屋根の家もあれば四角い家もあるわけで。そういうことをみんな考えもしないじゃないですか。その割には、平気で3000万円以上も出して家を買うんですから不思議です。
運営者 みんな知識がないから住宅メーカーの言いなりになっちゃいますよね。だからすごく損な買い物してる人もいるんじゃないかと思います。まあ住宅メーカーの提案は、相当なノウハウの蓄積に基づいているはずですから、損とも言い切れないものが多いとは思いますが・・・
田中 ただし、本来あった選択肢を知らずに家を買ってしまうわけですから。
家を買うときに建築のプロに相談できれば問題はないんです。何かあったら弁護士に相談できたらいいのと同じです。
運営者 みんな毎日建築物を利用しているわけだから、それについての意見を言うくせをつけると良いと思うんですよね。
グルメ番組はたくさんあって、「あれがうまい、これがうまい」と言ってるけれど、建築についての番組なんて、「渡辺篤史の建もの探訪」と、「大改造!!劇的ビフォーアフター」しかないじゃないですか。
田中 本もそうですよ。政治関連のベストセラーというのはいくらもありますが、建築関係で売れた本なんて聞いたことがありますか?
運営者 ないですねえ。安藤忠雄ものは建築家に焦点が当たってるし。雑誌でいうと「新建築」と「日経アーキテクチュア」くらいですか。ほとんど建築写真雑誌ですけど(笑)。
田中 だから建築家のほうも、ピクチャレスクな建築を作ろうとする傾向があるくらいなんです。
運営者 ということは、日本では建築というものが語られる土壌がないということですね。
田中 そういう雑誌で活躍している建築評論家はとても優秀で、建築に限らず文化やアートに対してしっかり提言できる力を持っている人たちです。だけど建築の世界はクローズドマーケットなので、社会全般に対する影響力はあまり少ないです。
しかし建設業は日本のGDPの10%近くある巨大な産業なんですよ。