田中 まあ、短期的にみればそれもあるのかもしれませんが、長期的に考えるとそれでは持たないわけで、外国から観光客を迎え入れて、空港だけでなく交通機関も含めて考える発想が必要だと思います。例えば名古屋であればセントレアから外国のお客さんが来るとして、三重県に伊勢神宮があるし、岐阜県に飛騨高山がありますから、それらをつなぐような発想が大切でしょう。
名古屋は日本で3番目の都市ですし、トヨタのような企業が立地している重要なところです。
運営者 世界的に見て重要だと思います。
田中 しかし、残念なことに産業という観点でしか語られないきらいもあります。
もし仮に産業が元気がなくなったとしても、他のもので浮揚できるような形になっていなければまずいでしょう。デトロイトみたいになっていいんですかということですよ。
運営者 いま友人がデトロイト総領事をやっていますが、遊びにこいと言われても、行って何があるのかなと・・・
ところで田中さんは、アートの観点から、ご自宅でもギャラリーをやっていらっしゃるし、名古屋でコミュニティ活動をやっていらっしゃいますね。なにがきっかけだったんですか。
田中 そもそも、僕はアートが好きだったんです。
運営者 そうか、田中さんは神戸のご出身じゃないですか。あっちの人は、関東の人よりも文化的な素養が高いと僕は思ってるんです。
田中 そうですね、単に生活という観点だけではなくて、ビジネス以外のものを見るというのが自然なことだと考えられていますから、そういう人が多いかもしれません。
運営者 お茶にしてもお花にしても、みんなやるのが普通だし、みんな百人一首を知っているというのは関東ではないです。
田中 食べ物についてもおいしいものに対するこだわりがあるし、ファッションについてもそうですから。
それは金持ちも貧乏人も一緒で、みんなそういう感じなんです。
去年より、中川運河を舞台にしたキャナルアートという催しをやっています。世界では運河をうまく利用している都市はたくさんあってアートを運河沿いに設置し、街を活性化しているんです。
キャナルアートは名古屋でも運河を市民に開放していく中で「感性都市」にしていこうという活動なんです。最終的には都市計画に影響を与えることができればよいと思っています。
運営者 行政を巻き込む必要がありますね。
田中 ですから、アートをきっかけにした街づくりととらえていただいた方がよいと思います。