国家予算を編成するソフトウェア
運営者 それで「国ナビ」が完成しました。
今度は、国ナビを使って、どうやったら「予算案」って作れるんですかね?
桜内 はい、ここ数年にわたって、財務省は決算ベースでは、国の財務書類というものを作るようになってきています。ある程度の複式処理はしているのですが、完全ではありません。財務省に設置されている財政制度等審議会というところで、省庁別財務書類作成基準というのを作っています。つまり、財務省が基準を作っているのですが、例えば、その基準の最大の欠点というのは、キャッシュフロー計算書のフォーマット自体がまずいんです。
キャッシュフロー計算書は、ご存知の通り、 1年間のキャッシュの出入りを表示するものです。企業会計の場合は、期首のキャッシュの残高と、いくらの出入りがあったか、期末にいくら残って繰り越しているかを示しています。
ベネチア・ドゥカーレ宮運営者 今、経営者が見ていなければならない最も重要な指標ですよ。
桜内 なのに、なのに! 期首の残高がないんです。だから、期末の残高もないんです!
運営者 はい? 何なんですか、そりゃ?
桜内 翌期に繰り越された金額を見てみると、前期の残高と違う金額が書いてあるんです。これまでの歳入歳出予算と同じで、残高が出ないんです。要は基準が緩いんですよ。どこにどうおカネが使われたのか分からない部分があるんです。財務省の本音としては決算しか作りたくないんですよ。
運営者 はー、なるほど。
桜内 だから僕は、毎年の決算ベースの財務諸表を見ながら、そこを推測しながら埋めて考えていくしかなかったんですが、それをやっていくと「どうやらこの部分が毎年このくらい変動するらしい」といったことがわかってくるんです。
そういう推測をやってソフトウェアに落として、数字を出すということをこの5、6年続けてきて、やっと「国会に予算案として出しても大丈夫なくらいの予算額ができましたよ」という感じなんです。
運営者 この国家予算を作成するソフトウェアというのはどういうものなんですか?
桜内 ひとつ目の機能としては、まず通常国会の冒頭で財務省が予算を提出しますが、その数字をソフトウェアに入れて複式処理をして、一般会計と特別会計を連結した財務諸表を作成するという機能があります。「予算ベースで歳入歳出を執行すると1年後にはこうなります」というバランスシートをはじめとする財務諸表ができるわけです。
その数字は置いておいて、今度は「自分たちが政権をとった場合は、このような政策を実行したい」というシナリオを作るわけです。そして、そのシナリオを実行した場合に、「予算科目で言うとどの科目をいくらくらい動かすのか。いくら増やすのか減らすか」を考えることになります。
運営者 自分たちの政党の主張する政策を盛り込んでいくわけですよね。具体的にご説明いただくと。