金融を含めた日本経済全体のコントロールを「国ナビ」で
運営者 それで次に伺いたいのは、この国ナビシステムはこの先どうなっていくんですかね?
桜内 実は今の状況は、本当の意味での国ナビを実現するための一里塚でしかないんです。
何をやりたいかというと、さっき岡本さんがおっしゃっていたように、もともと僕の博士論文は、一般会計・特別会計に限定した話ではないんです。例えば日銀の財務諸表も、一国経済全体の中に存在しています。
そうすると、例えば日銀が金融政策でベースマネーを増やす、そしてそのおカネで日銀が国債を購入すると、社会会計全体で見てマネーストックが一体いくらになるのか、そしてそれがGDPに対してどのように波及するかという事をすべて測定できるはずなんです。
運営者 確かに! それは僕が最初に桜内さんに会ったときに聞いた話ですよ。
桜内 ええ、ですからとっても偉そうな言い方をすると、公会計というのはまだ特殊相対性理論でしかないんです。その先に、一般相対性理論があるんです。
一国経済全体、本当は為替も含めて世界経済全体、まあそこまで行くのは今は無理だとしても、次は金融面も含めた日本経済全体のコントロールを、「国ナビ」の数字を見ながら行っていくということができたら面白いなと。
運営者 しかもそれは、政策としてということなんですよね。財政政策、金融政策を政治家が民意をていして行う。「国ナビ」はそのよすがとなるということです。議院内閣制の国としてはとても理想的なことです。
桜内 経済全体の中で、数字で測定できるところはまずちゃんと測定して、財務諸表を作ってコントロールしようということなんです。
ただ、僕が国会議員になってみて今つくづく思うのは、数字で明らかにできない部分もあるということです。例えば外交安全保障の分野とか、お金には換算できないものです。
だけどね、それだったらせめてお金に換算できるところは・・・
運営者 「見えるようにしましょうよ」と。
桜内 かつ、「ちゃんとやろうよ」ということなんです。見えるようにできるのであれば、見えるようにしてちゃんとコントロールしたいと思うんです。
運営者 桜内さん、国民から政治に期待されているものは、まさにその見えないものも含めて知恵を集めて対応するということなんです。
例えば学問の世界では、どうやっても証明できない事があります。時間をかけないと白黒付かないけど、早急な対応判断が必要なこととか。他の世界の能力では手の届かない問題も含めて、国家全体の運営について、もっとも賢い判断を行うことが、政治家には期待されているんですね。
だから、本当は見えているはずの数字すら都合が悪いと無視して、目の子勘定で自分の立場だけで物事を決めている政治家なんていうのは、唾棄すべき存在ですよ。
それは国民が期待している政治家の姿とは全く乖離しています。
だから桜内さんはとてもよくやっていると思います。だいたい「国家経営」とか「統治機構の改革」というのも、桜内さんが昔から言っていたことですよ。今でこそ人口に膾炙して大勢の政治家の皆さんが使っていますが。
僕から見ると、こりゃまた一体どうしたことかなと(笑)
桜内 僕は、20年来、憲法の改正を通じた統治機構の改革、それも政府の意思決定の方法を根本から変える公会計を仕事としてやってきました。
今後もこの方向でがんばっていくつもりです。
運営者 ぜひ頑張ってください、心から応援しています。