文革の2年後に改革開放に走る大転換もアリ
エコノミスト
田代秀敏氏
田代 ですから、中国を中国たらしめているシステムは残っても、そのシステムに盛り込むコンテンツ(内容物)は次々と変わります。それに中国人は何の躊躇もありません。
だから10年間、国家機構まで廃絶させた文化大革命が終わってわずか2年後に、国家の根本方針を180度変えて、改革開放路線に突っ走ることができるんです。
そういう大転換も、中国では極めて簡単です。しかし日本では滅茶苦茶難しいですよ。
運営者 だって、憲法すら変えられないんですから。
田代 そう。今の中国の憲法なんて、5年おきの共産党大会のたびに変えてるんです。
運営者 法隆寺が1400年残るのであれば、日本国憲法も、1400年残るということですね。
田代 だから中国は唐の時代に床に座る生活から、椅子ベッド生活に移行し、清の時代には弁髪をたらしているわけです。
チャイナドレスは満州族の貴族の女性の服で、なぜスリットが入っているかというと乗馬するためなんですね。
運営者 もともとは乗馬服なんですね。
田代 それが中国の一般女性の服に広がったわけです。日本で例えて言うと、チマチョゴリを日本女性が和服の代わりに着ているようなものですよ。それについても彼らは何のこだわりもありません。
運営者 ということは、「中国四千年」とかいって古い国だと威張っているけれど、別に古い国であるというわけではないんですね。
田代 基本システムは古くても、コンテンツ(内容物)は古くありません。いつでもニューです。
それから中国と日本の大きな違いを知るには、いま中国で必ず再放送されているドラマが何かを知るとよいですよ。日本のドラマなんですけどね。
運営者 なんですかそれは?
田代 2つあります。ひとつは「サインはV」です。
運営者 へー。
田代 もうひとつは山口百恵さんの「赤いシリーズ」です。どちらも中国語吹き替え版が、今でも再放送され続けています。
運営者 だってずいぶん大昔のドラマですよ。
田代 でも、中国では、みんな感動して視てます。
運営者 いったいどこにそんなに魅力があるんですかね?