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 1995年 ぼくはこんな記事をつくってしまった


1995年1月号

戦史が教える「知的機動力」の本質

 野中郁次郎(一橋大学教授)

依頼原稿・「成功の本質」という特集に合うような原稿をと野中先生依頼する。朝鮮戦争の写真や海兵隊のポスターを集めるのにえらい手間が掛かった。

 

かくて電撃のリストラ作戦完遂す

 松本洋(NSC副社長)

依頼原稿・NKKの米国子会社のナショナル・スチールが黒字化するという情報あり。日本人リーダーの松本副社長は知り合いなので、電話して原稿を依頼する。

 

関西空港会社への「国費投入」に意義あり

 大前研一&本誌編集部

記事・運輸省が前回記事への反論書を送ってきた。文面は慇懃でも、課長の名前の方が、宛先の編集長の名前よりも上にあるという大した代物である。これにはさすがの私も言葉を失った。かつ「赤字である」という理由で第三セクターである関空会社へ税金を投入しようとしていることを知り私の怒りは再燃した。官が何故に空路・陸路・鉄道の民間の競争に介入するのか。腐った役人どもの頭に市場の優位性を注入せねば。しかし、関空への税金投入は予算化された。どうにもならないものだ


2月号

「マルチメディア実験都市」見聞録

 神保哲生(日本ビデオニュース社長)

記事・たまたま神保さんがオークランドでタイム・ワーナーがやっているケーブルテレビの実験を見に行くというのでレポートしてもらう。

 

「国道16号線」に急成長商圏あり

 佐藤治彦(経済評論家)

活字分野での活躍も希望していた友人の佐藤氏に依頼。また、NHK時代に勉強会に来ていただいた西村晃氏も本誌初登場。「ワールドビジネスサテライト」のキャスターで活躍中でした。

 

自壊する堤清二「セゾン王国」

 立石泰則(ジャーナリスト)

94年7月の人事特集で、セゾン広報へ行って入社制度のことを聞こうとしたら、広報の奴が変な顔をしていた。そのとき「セゾンコーポレーションの秘書の○○さんは知り合いで」と喋ったら、彼女は広報からきついおとがめを受けたらしい。このカイシャでは、マスコミの人間と友達になってはならないのだ。あまりにもいびつに歪んだセゾン王国、そのセゾンと当誌の関係がこじれにこじれていたということをまったく知らなかった私。私が悪かったのでしょうか? 足で稼いで取材する。


3月号

「こてこてナニワ営業道」

 久保岡宣子(ジャーナリスト)

記事・大ヒット企画「営業特集」。「営業マンが一番人数が多いのだから、やれば受けるはずだ」というのが、私と組んで企画を提案した先輩の意図だった。編集会議において全ての企画が新しく「開発」された。そのとき、「営業の企画なのに関西商人の話が載っていないのはおかしい」とつい口を滑らせたのが失敗であった。「じゃあ岡本、関西取材ね」。後悔先に立たず。アポイントは月曜日から3日間で入れていた。その月曜日の早朝、関西地方を大地震がおそった。取材を強行した私は、鬼と言われた。

 

 

日本人が失った 「永井荷風」的こころ

 丸谷才一(作家)・半籐一利(昭和史探偵)

対談・この対談記事は、自分では凄くうまくまとめられたと思っているし、読者調査の人気度も高かった。誰も知らないような翻訳物の本の著者について指摘する読者からの手紙も来たりして、プレジデント読者の質の高さを知ることができた。満足まんぞく。

 

ボランティア問題を巡る体験的「危機管理」論

 佐々淳行

記事・「すわっ、震災だ」ということで、危機管理の第一人者、佐々先生にお願いするしかない。


4月号

銀行が「赤字決算」を出すということ

 財部誠一(経済ジャーナリスト)

記事・土曜日の夕方、財部さんから電話がかかってきた。「岡本さん、どうして電話したかわかります?」「もちろん、住銀の赤字決算の発表についてでしょ」。全行が赤字決算をした98年決算からは想像もつかないが、このくらい住銀の赤字決算はわれわれにとっては画期的で、評価すべき英断であったのだ。商法の精神からいくと実は全銀行の経営者が「損失を速やかに償却しない」という商法違反を犯しているのであった。森川頭取にインタビュー。日本の銀行がどうしようもない困った状況に追い込まれるまで、この時からそう長い時間を必要とはしなかった。

 

私が見た戦後の名経営者

 中山泰平/聞き手・岸宣仁

記事・またまたソッペイに会うチャンスが。

 

シュミレーション・「ニッポン株式会社」史上最強の役員陣

 硲宗夫(経済ジャーナリスト)

依頼原稿・ちょっと面白い企画。依頼しただけ。

 

上田城攻防戦 真田昌幸と徳川秀忠

 岳宏一郎(作家)

依頼原稿・新しい歴史筆者開拓の命を帯びて『群雲、関ヶ原へ』で売り出し中の岳先生に接触。その後もいろいろとかわいがっていただく。


5月号

有事における「指揮官」適格性を問う

 佐々淳行

第2特集記事・またまたご登場をお願いする。

 

事例研究・危機の決断力―ミッドウェー海戦と長津湖撤退作戦

 野中郁次郎(一橋大学教授)

依頼原稿・またまたご登場をお願いする。

 

懇切丁寧、詳細解説!「PL法」クイズ

 久保田正志(ジャーナリスト)

PL法をなんとかわかりやすく解説できないか。たまたま出席した勉強会の外資系損保の人の講演がわかりやすかったので、これと弁護士への取材を合わせて、久保田さんにQ&A方式でまとめてもらう。

 


6月号

提言「神戸・長田区」震災復興計画

 加護野忠男(神戸大学教授)/野中郁次郎(一橋大学教授)/伊丹敬之(一橋大学教授)

依頼原稿・日本を代表する経営学者の連名の豪華な論文である。2月、編集長と地震見舞いに行った神戸で、加護野先生から「3人で復興計画まとめてるんだよね」と聞き、それいただきっと掲載した。この記事には、震災関連グラビア誌からの転載依頼が来た。

 

もう人事部には頼まない!?

 竹内弘高(一橋大学教授)vs田中滋(ヘイ コンサルティング社長)

第1特集巻頭対談・この人事特集全体の素案は私が書いた。まったくウケない特集であった。深く反省。

 

ある中堅企業の「柔らかい人事」制度に学ぶ

 久保田正志(ジャーナリスト)

納得できる&やる気の出る「人材活用」の事例だったはずなのだが、斑目社長は3年後に社員から追い出されてしまった。発想としては先進の経営テクニックだったのだが、日本的経営意識の壁は厚かった。


7月号

「エンパワーメント」「コア・コンピタンス」の発想

 井関利明(慶應義塾大学教授)

記事・慶応の総合政策学部長に新しい経営のキーワードを聞く。

 

「ITの時代」

 斉藤栄一郎(ジャーナリスト)

記事・インフォメーション・テクノロジーがビジネスの形態を変えていくことをレポート。

 

一遍 「踊り念仏」で築いた巨大教団

 紀野一義(作家)

依頼原稿・郷土の偉人ということにつられて、私の仏教関係記事デビュー。


8月号

都知事・青島幸男、その静かなる「決断」めぐる一考察

 大前研一

第1特集記事・なぜか知らねど、青島について、都知事戦に破れた大前さんにインタビューを申し込む。写真は、そのころ凝っていたSIMCITYで東京湾岸の埋め立て地に似せてつくった街を写す。

 

青島さんに捧ぐ体験的「都政論」

 安江良介(岩波書店社長)

記事・ついでに、美濃部知事の特別職秘書を1期務めた安江岩波書店社長にご登場いただく。この時ばかりは編集長に同道願う。じゃないとやばいわな。安江社長はしばらくして昏倒し、帰らぬ人となってしまった。

 

 

金融恐慌・前夜 

 住専・不良債権処理のための「公的資金」導入の条件を問う

 秋場良宣(経済ジャーナリスト)

記事・「なんか金融がやばいらしいから、岡本やれ」との編集長からのご下命である。いろいろと聞いてみると住専というのがやばいらしい。13兆の融資残高の半額が焦げ付いているというのだから凄い。秋場さんが「岡本さん、こういうのは誰が悪者なんでしょうねえ」と聞くので、「決まってるじゃないですか、こういうのは大蔵省が悪いと考えてかかると、9分9厘間違いないですよ」。とにかくさっぱり様子が分からないので、片っ端から足で取材する。最初は取材拒否していた農協系も徐々に口が緩んでくる。牛尾次朗同友会代表にも半ば脅迫して面会する。あらゆる情報を総合して考えると、大蔵省は土地融資に対する総量規制と三業種規制を掛けた際に、住専に対しては銀行融資が減少し、かわりに農協からの融資が増大するように資金パイプを付け替えていたと受け取られても仕方がないことをしていたことが判明する。融資残高推移の数字も取ることができた。この数字を元に、当時の銀行局長の「住専ってのは、本筋じゃあなかったからね」という無責任きわまりないコメントを取ることができた。母体銀行、住専、農協、大蔵省、農水省の責任擦り合い体制がこの危機を招いたことは明白となった。住専は政令上の大蔵省「直轄会社」である。大蔵天下りの住専社長の年収は5000万。大蔵省は「住専にさえ蓋をしてしまえば金融危機は去る」と楽観し、この記事から半年後に6850億円の税金投入を決定する。しかし住専処理は、金融崩壊のほんの序曲に過ぎなかった。タイトル回りには、ムーディーズの格付けの推移を立体化して掲載する。今では猫も杓子も格付けだが、この記事はその先駆けである。


9月号

フォーチュン500

翻訳記事・フォーチュン500も渋々手がけた。じつに面倒だった。しかも誰も読んでいない。問い合わせも年に1回くらいしか来ない。この後、記事として縮小の方向に。

 

放談・三国志---乱世の「人物鑑定」学

 篠田正浩(映画監督)vs守屋洋(中国文学者)

対談・なんとか今までのプレジデントとは違う「三国志」対談のできる人を捜してみようと決心。篠田監督を捜してきた。本人も「なぜボクが三国志に詳しいってわかったの」と驚いていた。へっへっへ。

 

孫権 「人材登用」の名手ここにあり

 伴野朗(作家)

依頼原稿・伴野先生は高校の先輩である。以下同文。


10月号

 

不滅の商才---小林一三・再評価 第1部

 阿部牧郎(作家)

依頼原稿・大阪在住の作家にということで阿部先生に頼んだ。とにかく興味を持ってもらおうということで池田文庫にも行ったし(逸翁美術館は閉館中)、阪急で車掌をしていたという現役世界最長老の指揮者、朝比奈隆さんにもお目にかかっていただいた。また、私は関西財界に30年にわたって君臨した関西電力の葦原名誉会長にもお目にかかった。彼も阪急出身であるからなのだが、前の晩に飲み過ぎて大変失礼なことをしてしまった。その日、阿部先生はキタのスナックを何軒も梯子するというので、私は3軒目で失礼させていただいた。しかし、その時あるスナックのママが、関空会社の服部社長が、泉井という石油商の金で豪遊していることを話していたのだ。これが後に大事件に発展する。私も修行が足りないものである。

 

不滅の商才---小林一三・再評価 第2部

 本誌編集部

原稿執筆・第2部は私が書くことにした。テーマは自由主義経済を信奉する経営者である小林一三と、統制派官僚の首塊である岸信介の暗闘である。舞台は阪急から東京電力、電力審議会、そして商工大臣となった小林と岸商工次官の直接対決がクライマックスとなる。資料もかなり読んだが、それよりも友人が小林一三の本を書いたばかりだったのがものすごく助かった。しかし、少し難解な表現が多くなってしまったと反省している。


11月号

僕らはこうして成功した

 ビル・ゲイツ&ポール・アレン

翻訳記事・ビルゲイツと一緒にマイクロソフトを創業したポール・アレンは現在投資家・慈善事業家になっている。この2人の対談を、いかに自然なかたちの日本語にするか、斉藤栄一郎氏と知恵を絞り合った。

 

こてこてナニワ商人道

 山本兼一(ジャーナリスト)

記事・また営業モノをやるという。それでまた同じネタをやれという。一度ウケたらまったく同じものをもう一度やるというのは、私には理解できない発想だ。が、デスクがそう言うのだから仕方がない。今度はさらにグレードアップしたものに挑戦するだけだ(ちなみにこのデスクは編集長になってからまったく同じ事を「またやれ」と言ったので、さすがに温厚な私もキレて断った)。綿密に準備してすっかりお膳立てを整えてから私は9日間の北欧旅行に旅立った。景色は雄大で美しい。人は控えめで大人しく、みんな親切だ。すっかり心の洗濯をして帰国し、ナニワに直行。3日間の取材行であったのだが、初日の午後だけで私の北欧旅情は脂ぎったナニワのコテコテ加減に洗われて霧消した。私の北欧を返せーっ!!!

 

「客の不満」に宝の山あり

 武田哲男(コンサルタント)

この年のアンケート「役に立った」部門で1位になった記事。

 


12月号

取引先の経験を集積・伝授し、事業主の経営課題をズバリ解決

 辻和成(ジャーナリスト)

パソコンによる情報管理をビジネスに活かしている企業の実際を取材する特集。中小企業金融公庫の自社データベースを活用した「情報提供サービス」。中小公庫は○○の紹介だが、この特集の情報活用のネタの大半は○○に行って○○を見て取ってきたもの。

 

「大福帳型データベース」は会計ソフトの「すぐれモノ」

 勝見明(ジャーナリスト)

MOシップマネージメントは商船三井の子会社。SAPのR3の先進性を、ある企業で導入している友人から聞いていたので取材することに。 

 

営業マンを強力サポートする「情報共有」の発想

 秋場良宣(ジャーナリスト)

カルビーが自社で構築している「営業支援システム」を取材。営業マンの業績向上のためにはコンピュータの導入が欠かせないことを実感した。
 

世界が歓呼の声で迎える男、マエストロ・オザワ。その不動の名声

表紙の関連記事がないというので10人くらいに記事を依頼したが全て断られた。仕方がないので新日本フィルからファクシミリで資料を送ってもらって適当に自分でまとめる。

 

スーパー業界<大競争>時代

 永田卓(ジャーナリスト)

スーパー大手の業績にはいよいよ格差が開いてきた。経営力の差である。この傾向は更にその後も広がり、ダイエーの中内社長は4年後その座を降りるに至る。
 





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「人間力」エピソード





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