1996年1月号
アジア経済急上昇の推進力は「地域国家」ネットワークだ
大前研一
第2特集記事・アジアツアーに行って帰ってきたばかりの大前さんに話を聞く。
シンガポールは世界で一番働きやすい都市?
S・バーリーン 「フォーチュン」誌特約
フォーチュンが毎年やっている各国比較の記事をアジア特集に引っかけて翻訳掲載。
わが「バカ儲け」経営術
ジャック・ウェルチ/ロベルト・ゴイズエタ
翻訳記事・前号のような自然な翻訳に再度挑戦。この記事で、EVA(株主資本利益率)という新しい概念を紹介した。新しい考え方の輸入である。いまではやたら流行っているが。
2月号
売れて儲かる仕組みはこう作れ
鈴木敏文(イトーヨーカ堂社長)
対談・田原総一朗さん対談4連発。前から会いたいと思っていた。結局彼がやっているのは、ITを駆使した限りない「改善」である。この単純な手法が実に強い。見事でしょう。
華麗なる「ホワイトカラー革命」を語る
牛尾治朗(経済同友会代表幹事)
対談・田原総一朗対談。牛尾さんにも、ゆっくり時間をとっていただいてはじめてお話を伺う。私がまともだと思う経営者はほとんど同友会関係者である。いったいなぜなのだろうか。
「緩和」では生ぬるい!「規制破壊」こそが日本を救う
中条潮(慶應義塾大学教授)
記事・この記事は、実はしばらく前に僕の勉強会で中条先生にしてもらった規制緩和の講演がQ&A方式になっていて非常にわかりやすく、未発表ということだったので、その時のテープから原稿を起こしてちゃっかり掲載した。やっぱり世の中、安直が一番である。
金融崩壊「罪と罰」 有識者に聞く「金融システム再生」への道
財部誠一(経済ジャーナリスト)
記事・住専への血税投入案が発表された日に、編集部で豚カツを食べている時に、編集長に直訴して急遽ページを取ってもらった。こんなバカげた決定には怒りの声を上げるのがメディアの義務である。有識者にアンケートをとりまくるが、反応は鈍い。紺屋典子さんに会いに行く。東洋大学の中北教授が面白いことを言っているので財部さんと話を聞きに行く。
ビル・ゲイツとインターネット
B・シュレンダー 「フォーチュン」誌特約
なんとストレートなタイトル! ジャバの攻勢に対して、マイクロソフトも世界帝国を維持するために、本格的にインターネット対策を検討し始めていることをレポート。思えばこの頃は、インターネットの画面は決して動くことはなかったのだ。今となっては信じられないことだ。
3月号
住専処理機構は失敗する!
デービッド・アッシャー
住専フォローもの。国内で発言する人はほとんどいないので、オックスフォードにいるガイジンに頼む。しかし、アッシャーの英語は難解を極め、訳者もお手上げだった。こんな難しい英語の文章見たことない。
「世界最小ビデオカメラ」への減量大作戦
勝見明(ジャーナリスト)
懐かしの「開発モノ」再びの意気込みの特集記事。新子安のビクター工場まで取材に行く。ビデオ本体はスタジオで別撮り。秋葉原の店頭でも撮影した。
4月号
噂のバカ売れ歯磨き「 アパガード」の謎
綱島理友(エッセイスト)
記事・アパガードという歯磨きが売れている。これを作っている会社はR&D型の面白い企業だということを聞き込んだ。早速出向いていって取材交渉をする。しかし、まともな経済記事では面白くないので、エッセイストに取材を依頼した。できあがったものはウチでは珍しいへんてこな企業記事になった。大成功だと思っている。
これじゃ本など読むわけない!面白すぎるTVゲームの世界
平林久和(ゲームアナリスト)
依頼原稿・「プレジデント版ザッツ・エンタテイメント」の第1回にテレビゲームのことをやりたいとの編集長の希望により、テレビゲーム評論家に記事を依頼する。
大蔵省解体をめぐる「政」と「官」の関係を解く
霍見芳浩・金子仁洋
対談・つにい大蔵省攻撃のために1折(16ページ)いただけることになった。隔世の感がある。しかし、こんなことで喜んでいる自分が情けない。とりあえず、元内閣広報官の金子仁洋氏と共に、帝国ホテルの霍見先生の部屋を強襲する。行ってみると、神保氏がテレビの取材をしていた。なんだかなあ。
大蔵省 スーパーパワーの源泉を探る
財部誠一&ハーベイロード・ジャパン
依頼原稿・大蔵省が巨大権力機関だという漠然とした印象はあっても、その実態は良く知られていない。その辺をわかりやすく解説する便利記事。こういう記事を読んで欲しいのだが……。
日本人は「坂の上」に何を見たか
櫻井修(住友信託銀行相談役)・粕谷一希(都市出版代表)
対談・シバリョーが死んだので、急遽シバリョー特集を組むことに。とりあえず何かつくれというので、粕谷先生に泣きつくことにする。粕谷先生いつもすみません。対談から校了まで6日間でやった速攻記事。
部下が上司を選ぶ時代
田近伸和(ジャーナリスト)
記事・いわゆる「多面評価」制度を取り入れている幾つかの企業を取材。他に5本抱えているので、ひたすら忙しい月だった。
5月号
田中角栄と証券不況
神崎倫一(東洋信託銀行顧問)
依頼原稿・40年不況の時の話を書いていただく。
だるま蔵相、金融恐慌を制す
硲宗夫(経済ジャーナリスト)
依頼原稿・やはり高橋是清は偉い人だと再確認。
6月号
営業マネジャー心得 初めて部下を持つあなたに
塩見憲治(日本能率協会コンサルティング取締役)
記事・「営業」マネージャーは工学的発想ができなければならない。当たり前のステップ、戦略をちゃんと押さえる記事をつくる。大好評だった。
辣腕「支店長」物語
本誌編集部
原稿執筆・「営業部隊の企画なのに支店長の話が載っていないのはおかしい」とつい口を滑らせたのが失敗であった。「じゃあ岡本、支店長取材ね」。後悔先に立たず。ゴールデンウィーク直前に秋田~富山~仙台~岡崎のドサ回り取材を頼めるライターを私は知らない。結局自分が書くことに。
感涙!?「パソコン駆け込み寺」トラブル日記
辻和成(ジャーナリスト)
記事・パソコンを手にした中高年のFAQ。伊藤忠商事、NEC、ジャストシステムの担当部門にに実際によく来るしょーもない質問を聞いてみる。漫画をコンタロウさんに頼む。私はファンです。
7月号
心を掴む指導者の条件 ユリウス・カエサルという男
塩野七生vs佐々淳行
対談・これは読者の圧倒的支持を受けたバカウケ企画。私は塩野さんを口説くのに3年かけた。当日はプレスセンターで対談をやって銀座の小笹寿司へ。その後グレに移動。ここの姐ちゃんたちはみんな塩野作品を読んでいて、入れ替わり立ち替わり挨拶に来た。ここぞ腕の見せ所。自分で原稿まとめる。
六九万人の心を掴んだ独創の「ハガキ」顧客管理術
秋場良宣(経済ジャーナリスト)
記事・以前から目をつけていたIBIZAブランドの吉田カバンの、葉書による顧客管理を取材する。超高収益企業である。
選挙制度改革で有権者は何を手にしたのか
曽根泰教(慶應義塾大学教授)
依頼原稿・選挙があるのではないかという予測に基づいて、静岡で定点観測をやっている曽根先生にお願いする。
8月号
すべての日本人よ、今こそ、ルビコン川を渡れ!
塩野七生vs佐々淳行
対談・対談は3時間やったので、2号に分けて掲載することにした。一粒で二度おいしい。
「パス・ファインダー型」社長が二一世紀の精鋭企業を創る
大前研一
第1特集記事・社長特集のアタマを張ることができるネタを他に思いつくことができなかった。まあ、しょうがないわな。中身のある記事にはなってるし。
経営者における「知」のリーダーシップ
野中郁次郎(一橋大学教授)
依頼原稿・野中先生に原稿を依頼。ナレッジマネジメント、「学習する組織」といった概念が形作られていくプロセスを見た。
サラリーマンが「一国一城の主」になった日
土屋哲雄(三井物産デジタル社長)
記事・以前から知り合いだった物産の社員だが、子会社を設立して結構大きくして本社に戻った。その顛末を頼み込んで聞かせてもらい、記事にする。
その時トップは何を思う――企業合併「する論理、される心理」
齋藤貴男(ジャーナリスト)
王子製紙と十條製紙の合併について、両者の会長社長、関係者に話を聞いて実際のところを探ろうというねちっこい取材。4月から取材に入ってやっとこの号に掲載することになった。合併というのは微妙なプロセスで、何度も通わなければ関係者に口を割らせることはできなかった。でもしっかり口を割らせているから、齋藤さんえらい。
9月号
宿老・直江兼続VS謀将徳川家康――関ヶ原前哨戦
畑山博(作家)
名軍師・諸葛孔明vs智将・司馬仲達――愁風五丈原
雑喉潤(作家)
闘将・山口多聞vs戦略家・スプルーアンス――ミッドウェー海戦
藤原征矢(作家)
皇帝・ナポレオンvsウエリントン公爵――ワーテルローの戦い
拓殖久慶(作家)
すべて依頼原稿・今度は読み物に挑戦。私は古き良きプレジデントの読者が当誌の歴史物に期待しているのは読み物性でないかと分析していたので、この号では「敗れざる者たち」という括りで第2特集に4本の記事を立ててみた。
10月号
企業とは「劇場」である
榊原清則(慶應義塾大学教授)
インタビュー記事・ロンドン帰りの注目の学者への著者インタビュー。著者インタビューというのは初めてやったが、話が面白いしこの号はあまりビジネス物がないので3ページにしてもらう。この先生は、スニーカーを履いて軽快に編集部にやってきた。
「脳と般若心経」を科学する
高田明和(浜松医科大学教授)
記事・初めて般若心経の記事に取り組む。やってみるとなかなか面白い。ここで仏教を知っておくことが、その後のロンドン行きで外人に仏教思想を説明するのに随分役立った。
11月号
「救国のシナリオ」霞が関改革を採点する
本誌編集部
原稿執筆・行革総選挙の投票日に向けて、各党公約の行革案を詳細に分析する。政策の評価はわれわれの仕事の範疇であるし、それをきちんとした形で選挙の前に行って読者に提供するというのは、かなり意味のある仕事だと自己評価している。分析と併せて、牛尾次朗、大前研一、三宅純一各氏のコメントを取る。
"スーパーの男"が語る「店長は売るために何をすべきか」
荒井伸也(サミット社長)
記事・これまた以前からの知り合いの荒井さん(安土敏さん)は、伊丹映画「スーパーの女」の原作者。映画に即してスーパーの店長のマネジメント術をインタビューしたのだが、私は「スーパーの女」という映画は見ていないのだった。ああ鉄面皮。
12月号
明治という国家、平成という国家
両角良彦、櫻井修
対談・またまたシバリョー特集というので、財界官界きっての読書人お二方にご登場いただく。
明石元二郎 そのスパイ工作の全貌
水木 楊
依頼原稿・明石元二郎についての著書のある水木さんに依頼する。ベタベタな企画で申し訳ありません。