手塚 代表取締役名誉相談役
8月13日
朝食に宿からすぐのいかにも田舎のカフェ然としたGordonユs Cafe & Wine Barでクロック・マダム(クロック・ムッシュに卵を乗せたもの)、キッシュ、コーヒーの朝食。いかにも気のきいたフランスの田舎のカフェらしき店で、夜はワインバーになるらしい。地元の人たちが朝食をとりながら新聞を読んでいた。近くのコインランドリーで下着の洗濯をしている間の朝食。(先週の役員会以来これで旅に出て1週間になり、さすがに下着の洗濯が必要)
カフェの前のガソリンスタンドではクラシックカーのレンタカーが陳列してある。50年代のオープンカーをレンタルできるらしい。一旦洗濯物をもどしに部屋にもどり、いよいよナパ・ヴァレーのワイナリー巡り。
まずは一番近くにあった有名なロバート・モンダヴィを訪れるが、観光化が進んでいてバスで乗り付けた訪問客でごった返している。なんでもない普及版のワインのティスティングにも4ドルもかかるということで遠慮する。庭も工事中で立ち入り禁止となっており、あまり印象がよくない。大きなワイナリーはあまり面白くないと聞いていたが、そのとおりだと納得して早々に引き上げ北上を続ける。
29号線沿い、St.Helenaの街の入り口にニューヨークの有名なグルメショップ、Dean & Delucaがあるのを見つけ、ここに立ち寄りナパ産の高級ワインヴィネガーやチーズなどを買う。さらにナパの銘酒Beringerワイナリーを訪れるつもりで29号線を北上するが、見過ごしてしまい、ちょっと行き過ぎてしまう。まずいと思ってもどろうとした丁度その場所にあったこれも赤ワインの銘醸、Markhamに思わず足を入れる。
モンダヴィとは打って変わって人気もまばらで、カウンターでは2ドルで試飲をさせてくれる。ここはカベルネ、メルローなどのフルボディの赤が特色だが、最近始めたというシャルドネも試飲してみて、これがかなりイケることが判明。本当は東海岸では売り切れ気味の赤を何本か買いたいところだが、後で持ち切れなくなることを危惧して、泣く泣くあきらめる。
Markhamから出てほんの2―300mほど南下した右手にドイツ風の建物が見えてくるが、これがお目当てのBeringer Vinyard。ここも大きなワイナリーなので訪問者が多いが、筆者の好きなブランドなので見学ツアーに参加してみることにする。午後1時少し前に着いたのだが、1時からのツアーは満員ということで、1時半のツアーに申し込み、まずはティスティングルームへ。
1876年にドイツのマインツから移民してきたベリンジャー兄弟が起こしたというこのワイナリーは、非常に高品質のワインを作る事で知られている。特にChardoney Private Reserveは、ここ毎年Wine Spectator誌で最上級にランクされている定評のあるワイン。ここで子供のヴィンテージワインを見つけようと、ベリンジャー兄弟がマインツの家を模して作ったというドイツ風の館(1階が土産物屋となっている)の2階にあるFounderユs Roomに向かう。心なしかマインツの駅と似た雰囲気の重厚な建物である。
ここでは1階の一般ティスティングと違って、一杯4ドルで高価なPrivate Reserveクラスのヴィンテージワインを何種類も試飲させてくれる。93年カベルネのPrivateReserveの重厚な芳香を味わいながら、長女愛美のヴィンテージ1984年のCabernet Private Reserveを購入。75ドル。1984年は欧州が雨続きの天候でワインが全滅し、欧州産の銘醸ワインが全く手に入らない年なので、ヴィンテージものを見つけるならカリフォルニアで見つけるしかない。以前オハイオの田舎にワインショップでHeitz Cellerの84年CSを見つけて買ってはあるのだが、やはりBeringerは魅力なのでここでも買ってしまう。5年後に飲む事になるのだろうか? ついでに最近のBeringer CSの中で最も評価の高い1990年CS PRも1本購入(85ドルで1人1本限定)。これに実家への土産で96年のChardoney PRを買って、4本入る奇麗な専用の箱に入れてもらう。
車に一旦ワインを置き、約30分のツアーに参加するが、仕込みや初期発酵を行うタンク室へは入れないで、もっぱら岩山をくり貫いて作った貯蔵庫のみの見学。それはそれで非常に立派なセラーで、数え切れない樽が静かに熟成を待っているのであるが、見学としてはやや物足りない。ちょっと不満を残して次のワイナリーに向かう。
ナパ・ヴァレーの中心地、St. Helenaの街で左折し、29号線と並行して走る農道、Silverado Trailに向かう。大型トラックや観光客が頻繁に走るメインストリート29号線と異なり、こちらは、まさに葡萄畑の真ん中を走る農道といった趣で、いかにもナパに来たという気にさせてくれる。
ここから少しだけ横道にそれたところにナパの最高級銘醸Caymusがあるが、残念ながらここは一般に開放されておらず、門が閉じられている。外に車を停めて道沿いに植えられた木になっている葡萄を1つぶだけつまんで失敬する。カベルネとおぼしき香りの高い,しかしまだ熟しておらず酸味がきつく青臭さの残る葡萄だった。このCaymusが市場にでまわるのは2003年ごろか?