絆創膏をあてるのではなくて、出血を止めましょう
運営者 手塚さん、オペラの話以外でご登場いただくのは久し振りではないですか。
手塚 このサイトのはじめのころはちゃんと経営の話で出ていたんだけど、いつのまにか音楽評論家になってしまって・・。
同じ代表取締役名誉相談役でも、今やなく子もだまる木村剛氏とは雲泥の差・・・。この前Yahooの検索エンジンで自分の名前を入れて検索してみたら、最初にでてきたのがこのサイトのオペラ批評記事だった(笑)。
運営者 大丈夫ですよ、私なんか泣く子も笑いますから。
でもなんか今度、オペラじゃない本を出されたそうですね。「ゲーム理論 活用術,-儲けるための経済学を学ぶ」(東洋経済新報社)。
手塚 インディアナの田舎で隠遁生活をしていた副産物ですよ。暗く雪に閉ざされた冬の。
運営者 ところでどうですか、この景気の方は。なんとかなりそうな気配がありますかね。
手塚 あるわけないでしょう。やっぱり今、世の中の風潮として「不良債権をなんとかすれば、どうにかなるじゃないか」という話に傾きがちですよね。でも「まっとうに事業会社が儲けるべきだ」ということを議論していないと思います。
一方で、流通や土建業界ばかりでなく、日本の基幹産業だと思われていた電機業界まで空前の赤字を出しているという状況がある。事業会社が儲からないということは、金融危機の根本的な原因であって、過剰債務を抱えた会社というのが不良債権のもとになっているわけです。
そうすると本来は、不良債権問題の解決と並行して「過剰債務を抱えた会社がなぜ儲からないのか」という議論が必要なはずですよね。「不良債権をどうするかという問題が解決したとしても、借り手の方の企業が儲かるようにするにはどうすればいいのか」という根本的な議論をしないと再び間違いを犯すことになるでしょう。
運営者 ええ、それはこのサイトでも、新日本人論でも、さんざん話していることです。「絆創膏をあてる議論をするのではなくて、出血を止めましょう」という話はあまり世の中では議論されないんですよ。
手塚 であるならば、けがや病気をどうすれば治せるのか、スポーツができるような健全な身体にするにはどうすればいいかという話が肝心です。
運営者 新日本人論というのは、「なぜ旧日本人は本質を見ない生き方ができるのか」ということは分析していますが、どうすれば儲かるようになるのかというところの踏み込みが甘いんですよ。そこを直接説明するための枠組みを提示しているわけではない。「こういう姿勢がないと、儲かる仕組みなんか作れませんよ」と言ってるだけなんです。