出版社はイコールパートナーシップを認めない
運営者 面白いことがあって、僕が新聞に版元募集広告を出したじゃないですか。あれは、交渉の主導権という考え方から行くと、普通は「筆者が出版社に持ち込む」という構造であるものをひっくり返して、「こちらから条件を提示することで、イコールパートナーシップを提案する」というスタイルを作ろうとしたものなんです。
そして僕は出版社に対して2段階で情報を提示することを考えていたわけです。つまり新聞広告はスペースが限られているので僕のサイトに誘導する効果しかないわけです。広告を見て僕のサイトを見たら、「興味のある出版社はメールをください」と書いてある。それでメールをくれた出版社の人にだけある仕掛けが開示されるという仕組みにしておいたのです。
ところがなんと、いかにも出版社というのは旧日本人が集まりですよ。これまでの交渉の慣行をひっくり返されるということ自体に、違和感を覚えるのか、その違和感の出所が不安なのか、「これはヤバイ」という匂いがするのか、よくわかりませんが、そもそも応募してこないわけですよ。
本来であれば、全国紙にあれだけの大きさを新聞広告を打つということは、私自身は本気であり、この作品で勝負をしているという「シグナル」を相手に与えるはずのものなんです。数百万円という投入をしているわけですから。だから少なくとも、メールを出して「どんなものだから話ぐらいは聞いてみよう」と、自分が編集者であれば考えるだろうというふうに私は判断したのですが、これがどうやら間違ってたみたいなんですね。しかし、何のオブリゲーションもない、「興味がある人はメールをください」というこちらからの訴えかけに対してすら、レスポンスがないわけですから、これは弱りましたよ。
つまるところ、まったく交渉にはならなかったというのが現実のところなんです。旧日本人おそるべしですよ。
これじゃあ、旧日本人が自分たちの交渉スタイルを変えるというのはあり得ないことだと思いますよ。ハイ、私が実証しましたので!
手塚 著者に主導権は握らせないっていう防衛本能なんでしょうかね。
運営者 支配=従属関係しか知りませんからね。搾取するかされるかのどちらかしかないんですよ。だいたい印税率が固定されてるのも、経済合理性がまったくないですからね。