納税者のためコミュニティーメディアは必要だ 日本ビデオニュース社長 神保哲生氏
インターネットTV局http://www.videonews.com
神保 300チャンネルもあるケーブルテレビは、衛星の効率性に勝てないんだよ。世帯ごとにケーブルを引かなきゃいけないっていうのはね。でも、2つだけ衛星に対する優位性を持っていて、それが、インターネットができることと、コミュニティー・コンテンツなんだよ。
つまり衛星はコミュニティー・コンテンツをやるのは無理だということ。衛星打ち上げに掛かる費用と、衛星の耐用年数から考えて、どうしたって1チャンネル当りで年間1億ぐらい衛星コストが掛かる。そうすると、例えば米子市で言えば、13万しかない人口に対して、300本発進して、どんなに頑張っても13万人しか見てくれないのに、1億円年間掛かったら、絶対それはペイしないわけ。
だからコミュニティー・コンテンツというのは衛星には出きない。それからまあインターネット。衛星は一般家庭からアップリンク出来ないから。
でね、結局ぼくの場合何やるかというと。
このビデオニュースドットコムを使って、コンテンツを「ニュースアップデート」という一時間番組を作るんだけど。ケーブル・テレビのコンテンツを、とにかく吸い上げるのが一つの目的なの番組の。でケーブル・テレビが自分たちのコンテンツを、地域の外にも出す方法というのは、こういう番組があるということで、ここから気の長い話なんだけど、「全国の650チャンネル・ネットワークの日本版CNNを作りましょう」ということなんだよ。要するにそれをプログラムの中で、「神保菌」って、ばい菌のように言ってるんだけど、日本中にバラ撒く一つの手段にするというだけなんだけど。
運営者 その神保菌がバラ撒かれて、それに感染したビデオ・ジャーナリストはどうなるんですか。
神保 まずローカル・チャンネルっていうのは、本当に視聴率が取れればローカルではペイする。
運営者 民放の地方局は炭焼小屋になるって言われてますけども、ケーブル局はそうではないわけですな。
神保 民放の炭焼小屋もその気になってローカルニュースをやればとは思うけど、ちょっと僕は、地域が広すぎると思う。つまり米子に例えれば、山陰放送、日本海テレビ放送っていうのは、鳥取市、倉吉市、米子市、松江市、出雲市っていうのは全部カバーしなきゃいけないわけ。でね、ちょっとコミュニティーとしてやるには、広すぎる。
つまり「ある道路で事故があって鈴木善一さんが重症です」というニュースに、その事故の現場の映像が出てきた時に、「あそこのクリーニング屋の前の道だよ」っていうことが視聴者に分る範囲というのは、それでは広すぎる。つまり、米子の人が松江の画をいきなり見せられてもどこだか分らない。つまりコミュニティーじゃないんだよ。
納税者の立場で言えば、自分のための税金というのは米子市にしかいってないわけ。だから「その道路は欠陥道路じゃねえか、直せ」っていう話は、出雲市に欠陥道路があっても、米子の人は考えない。時差式信号っていうには今大きな問題になっていて、矢印が出ずにさ、ただ単に時差になっていることによって、右折をさせようとするんだけど、こっちは向こうの信号が青になっているなんてわかんないから、それで向こうが止まると思って進んだら、ぶつかるっていうケースが多くなってるのね。
「米子の市道で時差式信号でまた事故」となれば、米子市では当然その話になるんだけど、出雲で見ている人には関係ない。
……要するにコミュニティーの定義というのは、自分が一番末端にいて税金を納めている集合体なんだ。市民ということのもう一つの定義はタックスペイヤーなんだよ、だからタックスペイヤーとしての塊っていうのが、コミュニティーとしてもっとも成立しやすいものなわけ。
それがまあ、だいたいアメリカの公民権の定義なんだよね。「最小の共通の税金を納めているボディーを持っている集合体」というのが、コミュニティーの定義かな。だからそういう意味で言えば、今の地方テレビ局というのは、ちょっとエリアが中途半端だと僕は思う。