賢い消費者になりなさい
織田 聡氏
運営者 プラスアルファの仕事のができているかどうかが問題なのですが、どうすれば「そこの部分が一番大切なんだ」ということを、わかっていない人に納得してもらうことができるでしょうか?
織田 結局、お客さんが厳しくならなければ、サプライヤーの側は身に堪えないということでしょう。客の方がサプライヤーを甘やかしていけないんです。
運営者 だけどタコツボ社会ですから、お客さんにしても、そこからしか買えないということがあったでしょう。合見積もりをかけなかったりするわけじゃないですか。バカじゃないのかと思いますよね。
「お客さんのことを考えずに仕事ができるか」ということですよ。客を見ず、目的もなく仕事をして、それで楽しいというのは、僕には全く理解できないことですよ。
織田 ですから、そういう会社は区役所化してますよ。区役所、市役所、村役場。
運営者 まあまあ。役所でも最近はかなり努力している役所もたまにありますからね。
織田 変化から隔絶されていれば、それは幸せですよ。だけど公的機関でない限り、防波堤はいずれはなくなるんです。だから過去10年のあいだ全然成長できないんですよ。
でも、伸びている会社は全然違いますよね。
運営者 多くの日本企業は公的機関並であるということなんですよ。銀行も含めて、ちゃんと民営化してほしいもんですよね。ところが銀行の流れは、民営化どころか、ますます国有企業化されてますからね。りそななんか国有企業化で株価がドカンと上がったという。冗談じゃないですよまったく(爆)。
織田 「企業は公器である」という言い方もされますが、それは「社会に対する影響力が強いんだから、自分を律しろ」という意味で公器なのであって、「中にいる人間の生活を保証しろ」という意味での国有企業化ではないんですけどね。「公」という言葉を乱発しすぎですね。「公のためになるから」といって保護するという理由にはまったくならないですよね。
顧客に対して価値を提供し、株主に対して配当を払う、それが企業に求められているミッションであって、成果を出せない人に給料を払い続けるのは、べつに企業のミッションではないんです。
運営者 まったく。会社に関する、恐るべき誤解ですねえ。
(この項終わり)