運営者 なぜソ連では避難しなければならなくて、日本では平気で住んでいていいんですかね。それは後回しにして、福島以外についてですが、日本地図で見て、木下さんの目から「ここに住むのはちょっとどうかな」というのは、どの地域になるのでしょうか?
木下 判断の根拠として、放射性物質は土壌汚染が全てでは無いのですが、土壌汚染のレベルで見るしか方法がないんです。その時、大気がどの程度汚染されていたかはわからないし。
そして放射性物質の中でも、簡便に早く測定することができるものは放射性セシウムしかありません。だからセシウムの土壌検査の結果で見るしか方法がないと言えるでしょう。
運営者 そう思います。
首都圏土壌調査結果MAP
http://news.keitousagi.com/wp-content/uploads/2013/06/dojyou_map.pdf
首都圏土壌調査結果
http://news.keitousagi.com/wp-content/uploads/2013/06/dojyou1.pdf
西日本土壌調査結果
http://news.keitousagi.com/wp-content/uploads/2013/06/5f4d34501fca5c65977edba203ebaecb.pdf
北海道・九州・沖縄の土壌調査結果
http://news.keitousagi.com/wp-content/uploads/2013/06/386236084219d8d43b4f29c44ca537b4.pdf
木下 そうすると、関東一円で普通にどこでも放射性セシウムはあります。その線量が、かなり高いところ、やや高いところ、普通に高いところに分かれる状況です。
どこから住めて、どこからが住むべきではないという議論は精密にはできないのですが、少なくとも「セシウムが一定以上ある環境には住みたくない」と思う人であれば、関東地方には住めません。
関東であからさまに汚染度が低いのは、千葉の外房とか九十九里だけで、あの辺はおそらく放射性プルームが外れたので汚染されていません。
ただそれ以外の地域はすべて汚染されています。特に千葉の東葛エリアは汚染度が高いことで有名ですよね。
運営者 2013年4月に松戸あたりの土壌を測定したら18万ベクレル/kg検出されたというんですね。驚くべき数値だと思います。
木下 濃縮されていたら、全然おかしくない数値です。目黒区のカーポートの上のゴミを測ったら11万ベクレル/kgありましたから。
では、福島から遠くなればなるほど大丈夫なのかというとそうでもなくて、伊豆半島東部では普通に1000~2000ベクレル/kg測定されています。
運営者 一碧湖のあたりで2万ベクレル/kgほどあったそうですね。
木下 それが下田あたりでは50ベクレル/kgに下がるんです。プルームが当たって、放射性物質が落ちてきたところと、それがたまたま逸れた場所の差が出ているのでしょう。
運営者 そうすると、静岡県はまだら模様ですか?
木下 箱根から半島にかけての山の東側は放射性物質の濃度が高いみたいです。伊豆半島の山をプルームが越えられなかったわけで、西側は汚染されていない。越えられなかったプルームが回り込んで焼津あたりに落ちてるんです。
運営者 確か500ベクレル/kg弱出てますね。
木下 その次に起きたのが牧ノ原あたりの海岸べりです。だから静岡は内陸部は数値が低いのですが、沿岸部の駿河湾沿いはそこそこ放射性物質が来ています。
それより西部の遠州灘の海岸部では、概ね100ベクレル/kgくらいです。やはり内陸部はほとんど汚染されていない。
福島由来の放射性物質が最後にたどり着いているとはっきりわかるのは、愛知県の豊川とか豊橋のエリアです。東三河。
運営者 2011年6月に新城の茶葉からセシウムが360ベクレル/kg検出されてますね。
木下 だいたいこの辺が汚染地域と考えるのは最後のあたりだろうとわれわれは推測しています。だけど本当はさらに伊勢湾を越えて三重県の四日市でも汚染は検出されているし、桑名あたりからの健康被害報告をどう評価するかというのがいちばん西の端の話です。