運営者 長野県はどうですか?
木下 まず諏訪・塩尻・松本など長野県の南部エリアはかなり安全度が高いと思います。ところが北部側は、軽井沢からプルームが上がって行ったルートがあって、軽井沢はかなり汚染されているし、その先の長野県のエリアも100~200ベクレル/kg程度は汚染されています。川中島で400ベクレル/kg。
新潟については、大沼など山岳部は発災直後から汚染されています。プルームが山の中まで漂ってきたのでしょう。でも平野部までたどり着いていません。
いまから新潟で一番危険なのは山岳部の米ですよ。魚沼の米がとれるエリアは土壌汚染があります。
運営者 そして今は福島を原流とした川から流れ込んでいる。
木下 これはかなり汚染度が高く出ています。それで新潟市沖の河口に近いところでとれた底魚の内臓から20ベクレル/kg検出されています。
日本海の魚で放射性物質が確認される事はほとんどありませんからね。
運営者 今お話しいただいたのは、セシウムが土壌から検出されているかどうかというお話ですよね。「検出されていない地域は安全である」という話とは違います。
だっげらいよん4コマ漫画ブログ しばざきとしえ作木下 どこが安全かというのは、「自分自身がどう判断するか」という話に近いんです。
誰にとっても安全な、「絶対安全」というものはまずありえないんだということを認識していただきたい。
「絶対安全はないんだけど、自分の子供を育てるのであれば、ギリギリどこなら大丈夫と考えるか」という話で、しかも子供のこと考えるとリスクをなるべく抑えたいという親の欲目が入りますから、僕だったら近畿までは下がりたいと思います。
愛知県は、汚染地と近接しています。流通もありますからね。
運営者 これはね、みんな各々、どこで妥協するかという話なんだと思います。
木下 だから子供のことを考えて住むところを決めるとすれば、なんとか安心して過ごせるのは、長野県の南部から愛知以西、山梨の甲府盆地から西の山梨県はほぼ大丈夫で、ただし大月から東側は汚染が厳しくなってきます。
静岡であれば、箱根は西側に越える必要があります。名古屋まで来れば土壌のセシウム汚染はほぼなくなります。
ただし、初期被曝の段階では、放射性物質のパーティクルが届いた範囲はどこまでだったのかは、はっきりとはわかっていません。
段階的に、箱根にひとつの関があって、浜松にもう一つの関があるかと思います。
運営者 さらに北に行って、東北の日本海側はどうですか?
木下 山形県の盆地のエリアはほとんどダメだと思います。
鶴岡とか、山形の沿岸部の平野はほとんど汚染がありません。
秋田は、山岳部の一部以外は汚染はありません。山脈が二重にあるので、水源もやられにくいというところが新潟との違いです。
運営者 北海道はどうですか?
木下 数ベクレル単位の土壌汚染はかなりの広範囲に渡っています。
運営者 気にするべきレベルなのかどうなのかよくわかりませんね。
木下 難しいのは、根室から釧路といった道東地域がどのくらい汚染されているか。実際に僕が測ってみたら、海岸辺りの表土に近いところで30ベクレル/kgくらいある場所があります。10ベクレル/kgくらいはもともとあったかもしれないので、原発事故の影響は20ベクレル/kgくらいでしょう。此のくらいが道東でみつかっている最大数値です。