条件1. 周りの人が一目おく存在であること
小峰 尚
運営者 そうすると、「会社の外で通用する人材」の条件といいますと。
小峰 それは要するに、社内で「あいつは仕事ができる」といわれるような立派な業績をあげるとか。どのような仕事の仕方でそういう成果をあげたのか、社内に知られてることは、まず転職に成功する一つの条件になるわけです。
運営者 だけど、そういう方が自分で、「俺はこれをやった」なんてことを言うと、「あいつ何か鼻にかけている」とか、「図々しい」とか、「高飛車」であるとか言われて、ハソにされて村八分になってしまうものでしょ。
小峰 それはだから自分で言うんじゃなくて、周りの人が一目おく存在になっているということですよね。
運営者 そういうふうな社内でのレピュテーションというのはあるんですね、現実的に。
ところで、外国企業が探しているのは、あるポジションの仕事ができる人。それで、そのポジションのやる仕事は何なのかも決まっていて、給料も決まっているんですよね。
小峰 ジョブスペックとクオリフィケーション、この二つの要素があって、それからサーチが始まる。だから何でもいいから仕事のできる人って、そういう人はあまりないわけです。
運営者 そうですヨね。
小峰 その次に、「そういう条件を満たしている人は、どういう会社にいますかねえ」、ということをクライアントとやり取りすると、「多分、こういう業種の会社にいるんじゃないか」と。
運営者 この辺にいそうだぞと。
小峰 それを僕らが実際に当るということです。ライバルメーカーや、取引先などを聞いて、当っていくわけです。そういう会社の中、あるいはそういう業界の中で有名な人っていうのを調べると、今度は"ラッセルが過去にアプローチした、ラッセルに義理を感じてくれてるような人と会って話をするわけですよ。
「実は今日は、あなたへの話じゃないんですけど助けてください。こういう人を探しているんだけど、例えば会社の中で、あるいは辞めちゃって飛び出ている人で、こういう人に思い当たりませんか」
そうすると、辞めた人については結構みんな教えてくれるんです。
運営者 そうですね。
小峰 その時に、「昔こういう実績をあげた人がいたな」っていうのは、やっぱり社内でのレピュテーションがものを言う。「あいつはやり手だ」あるいは「あいつは良くやってるけれども、やっぱりうちの会社にいるより、外資系なんかに飛び出て行ったほうがいいんじゃないかな」と周りの人に思われていると、そういうところで名前がポロッと出てくるわけですよ。そういう人は僕らは全然コンタクトしたこともないし、レジュメを預かっていることもないというのが普通なんです。
運営者 ギクッ、それでぼくのところに話が来たのか。でも、ぼくが勤めていたのは100%外資の会社なんだけどなあ。じゃあ、あの人はよさそうだという話になると、出かけて行って……。
小峰 本人に、「いやあ、今は転職しようとは思われてないと思うけども、ともかく実力者だという噂を聞いたので、一度名刺交換みたいなことをしておいて下さい。決してあなたの損にはなりません」とアプローチして会うわけです。