公会計が必要な理由(企業会計がそぐわない理由)とは?
運営者 うむ、では公会計が必要な理由とは?
桜内 例えば公会計では「資産」という概念が企業会計とは根本的に違うんです。
企業会計の国際会計基準では、「フューチャー・キャッシュ・イン・フローがあるもの」を資産と定義しています。future economic benefitsと言うのですが、その資産を運用すれば自分に何かしらお金が入ってくるもののことですね。
公会計ではこれにプラスして、service potential、サービス提供能力があるものを資産とするんです。例えば国道や堤防があっても、会計主体である国には・・・
運営者 お金は入ってきません。
桜内 だけど他の経済主体である国民にとってみれば、国道、それも高速道路と同等で無料の高規格国道があれば・・・
運営者 「宇和島から松山まで。安く早く行けるようになったぞ」という便益があります。昔は遠かった・・・
マキャベリが勤めたフィレンツェのヴェッキオ宮桜内 つまり公会計では、他の経済主体に対する便益を提供するものを資産と定義してよいとされるんです。
運営者 企業会計と全く違いますね。
桜内 もう一つ、ここが国際公会計基準の一番大きな論点となっているのですが、「税収」とは何なのか、国家にとっての収益とは何なのかという議論があります。
運営者 税収とは何だ!!
桜内 キャッシュ・イン・フローであることは間違いありません。
だけど株式会社であれば、株主からのキャッシュ・イン・フローは「出資」であって、売り上げではないんです。
運営者 もちろん。
桜内 では、日本国民が納税者として国に払うお金というのは何なのでしょうか。
これは前回お話ししたこととも重なるのですが、さっき国に収益がなくても、国民に対してサービス提供能力があればそれを資産として計上するとお話ししましたよね。
つまり公会計の場合は、企業会計であれば収益であるところに何が立つべきかというと・・・
運営者 サービスですか?
桜内 「公益に資するもの」ということです。
運営者 なるほど! これが企業会計と同じ基準でできるのかということですね。