「自分のお金はみんなのもの」という理解
運営者 非常に重要なことは、市場はわれわれの社会が持っている一つの資産であると認識し、市場を理解し、市場をちゃんと維持し、育てつつ、市場のあり方自体も監視していくことだと思います。それができなければわれわれは大きな損をすることになるんでしょうね。
三ツ谷 まったくその通りだと思います。そして、一人ひとりが持っているお金も本当はみんなのものであるという自覚が必要ですよね。
運営者 そうそう、お金というのは自分が所有していても自分のものではないんです。これが理解できる人を増やさないと。
この前おかしな話を聞いたんですよ。安田信託銀行の危機説が流れたときに、私の知り合いが本店に見物に行ったら、自分の部下の女子社員が行列に並んでいたと言うんです。で、上司に向かって「とんでもない銀行だわよ。私が預けたお金を人に貸すなんて」と憤懣をぶちまけたそうな。上司の方は返す言葉を持たなかったそうです。
お金は資本として一括りにして、世の中で一番必要なところに行って価値を創る手助けをしなければまったく意味を持たないものなのですが……。
三ツ谷 結局そういう考え方を持って自分のお金の使い道をしっかり監視しないと、自分の老後をまともに暮らすこともできなくなってしまうでしょう。
資本は一番最初にインプットされた性質に従って、常に増殖していくという法則を理解して行動しないと、少なくとも資本主義社会は機能するものではないのです。
今のところの日本は「結局社会主義国家だ」と言われてしまえば全くそのとおりだと言わざるを得ないでしょう。みんな全体の中に埋没して安心して暮らしている。しかしそれは実は「まったくナンセンスだ」と指摘しなければならない状況にあるのでしょうね。
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