「イル・デスコ」(6月7日夕食)
ヴェローナ市内にも、ミシュラン2つ星をここ10数年とっているレストラン「イル・デスコ」があり、ここに来るたびに一度は行くことにしています。イタリアの夕食は8時以降から始めるのが普通ですが、ヴェローナ市内のレストランは、9時から始まるオペラの前に食事するお客が多いので、6時頃から店を開けています。
前菜としてふたりとも「生のガンベリ(ザリガニ)のミッラフォッリエ(ミルフィーユ)、ココナツミルクソース」。ここ数年このレストランのメニューには、和食の影響からか生の魚介類を取り入れた料理が必ずはいっています。生のえびのむき身をたたいたものをパイ皮はさんであり、パイのさくさくした食感とえびのぷりぷりした食感のハーモニーが楽しめました。プリモは妻がパスし、私は「雄牛の睾丸のスープ」。ちょっと淑女は注文しづらい素材で、ゲテモノっぽい印象がありますが、地元ヴェネトの伝統的な料理だそうです。黙って出されれば魚肉のソーセージによく似た味と食感で、なかなか美味。
主菜は妻が「乳飲み仔豚の煮込み、黒トリュフとポテトのピューレ添え」、私が「牛のフィレ、アマローネソース、夏野菜のグラッセ添え」。イタリアでは、仔牛、仔羊、仔豚とも、まだミルクしか飲んでいない乳児の白っぽく柔らかい肉をことさら珍重する傾向があります。クジラを食べることにはヒステリックになる動物保護団体の人々は、こうした食習慣には何も言わないのでしょうか。ちょっと不思議です。
牛フィレ料理に使われているアマローネソースは、地元産の高級ワイン、アマローネ・ディ・ヴァルポリチェッラを使った贅沢なもの。これに合わせるため、ワインはアッレグリーニのラ・ポイア(La Poja)2001年を選びました。ラ・ポイアは、ご当地のヴァルポリチェッラやアマローネの有数の造り手でもあるアッレグリーニが、伝統的な陰干しをしたコルヴィナ・ヴェロネーゼ種の葡萄を使いながらバリック熟成などの新しいスタイルで造っているワインで、アマローネに似た仄かな苦味と個性的な深い香りを持ちながら、より食事に合うバランスのとれた味に仕上がっているので、私が大好きなワイン。地元で飲む味は格別でした。