HOME > オペラ・クラシックコンサート便り > メトロポリタンオペラ《セヴィリアの理髪師》(2010年2月26日)

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |


ナビ1ナビ2ナビ3ナビ5
ナビ4ナビ6

メトロポリタンオペラ《セヴィリアの理髪師》(2010年2月26日)

武田雅人

 2月26日(金)に成田を発ち、3月1日(月)帰着するという週末を利用した2泊4日の強行軍でニューヨークに行ってきました。去年もこの時期に同じことをやりましたが、土曜日にマチネ公演があるメトロポリタンオペラならではのことで、2日間で3本のオペラを観ることができます。
 今年の目玉は、リッカルド・ムーティがMETに初登場し、しかもMETにとっては初めての上演となるヴェルディ《アッティラ》を振る、というものです。今回はこの時期、妻が別に所用があったので諦めていたのですが、直前になってひとりでも行ってこようと決意しました。
 ニューヨークに着くと、前日夜から降りはじめた大雪がかなり積もっています。慣れているのでワシントンのように都市機能がマヒということはなく、道も除雪されていますが、それらの雪が路肩に積まれているため、横断歩道のところは一部雪が残っています。気温は零下ですが融雪剤を撒いているせいかシャーベット状になったところを人が歩くので、ぐちゃぐちゃにぬかるんでいる箇所があちこちにあり、歩きにくくなっていました。それでも札幌のように歩道がカチンカチンに凍りつくよりはずっとマシかもしれません。

1.《セヴィリアの理髪師》
(2010年2月26日)

指揮:マウリツィオ・ベニーニ
演出:バートレット・シャー
装置:マイケル・イーガン
衣装:キャサリン・ズーバー
アルマヴィーヴァ伯爵:ローレンス・ブラウンリー
フィガロ:フランコ・ヴァッサッロ
ロジーナ:ディアナ・ダムラウ
バルトロ:マウリツィオ・ムラーロ
ドン・バジリオ:サミュエル・レイミー
ベルタ:ジェニファー・アイルマー

 バッサッロは、昨年夏のヴェローナでも同じ役で聴いていますが、若い頃のヌッチかあるいはそれ以上にはまり役といえ、芸達者でしかも若さにもあふれた溌剌たるフィガロです。広いMETでも声がよく響き、しかもアジリタの切れは、ソプラノ、テノールと比べても遜色ないほど。冒頭の<俺は町の何でも屋>では普通のバリトンは1オクターブ下に逃げることも多い超高音ラ(A)も特に力むことなく柔らかく響かせるなど、高音に強いところも見せました。

 今回興味深かったのは、ロジーナを歌ったディアナ・ダムラウです。YouTubeなどで夜の女王やツェルビネッタなどの超絶技巧では当代随一のドイツ系コロラトゥーラ・ソプラノだということは知っていましたが、ナマを聴くのは今回が初めて。アジリタ歌唱は期待通りの安定感ですが、夜の女王のイメージが強すぎたのか、最初は強すぎる「r」の子音の発音とあいまって、あまりにも気が強いロジーナだという印象がありました。

 歌唱表現が強いだけでなく、演技の面でも時おりスパニッシュダンスのような振りを折り混ぜる激しさがあります。しかし、単なるコケットではなく、自分の運命は自分で切り開くという強い意志を持った女というロジーナの側面を強調するこのような描き方も、ボーマルシェの原作が本来持っているリベラルな性格にはふさわしいのかも知れない、と思い直してみると、彼女の達者な演技と歌唱に次第に惹き込まれていきました。彼女の歌唱の後には爆発的な大喝采が起きましたが、一部にしつこくBooをかけ続ける声もありました。アメリカの聴衆にしては珍しいな、と思いましたが、イタリア系の様式感からすると、ちょっと過激な挑戦と感じる人がいても不思議ではありません。

 伯爵を歌ったアフリカ系アメリカ人のブラウンリーは、経歴をみるとロッシーニのスペシャリストであるようです。最近になってよく演奏されるようになってきた幕切れの大アリアも技巧的には難なくこなしました。音の粒をひとつひとつ際立たせながら滑らかなスラーをかけて速いパッセージを駆け抜ける技術は、フローレスと比べても遜色ないかもしれません。しかし残念ながら、容姿ということだけでなく声においてもフローレスがもつ華やかさ、明るい直進性というものが足りないため、超絶技巧を味わったときの深い感動に欠けるような気がします。そうはいっても立派な演奏であり、惜しみない拍手をもらっていました。
 バルトロ役のムラーロも喜劇的なバス・バリトンの専門家。早口言葉の口跡もよく、声量があるのでMETで重宝される歌手だと思います。
ドン・バジリオはシリアスな役をやるバッソ・カンタンテが歌うことも多い役柄で、ベテランのレイミーもその伝統にのっとり楽しんで歌っているという雰囲気がよく伝わってきました。
全盛期に彼がフィリッポや青ひげを歌うのを聴いてきた私としては、この役はともかく、翌日の《アッティラ》のレオーネにまで登場するのは、少し寂しいような気もするのですが、METの重鎮として後輩を盛り立てようとする姿勢は、自己顕示欲が強い歌手の世界では立派なものともいえます。もちろん彼のことをよく知っている聴衆からは盛大な拍手がおくられていました。
 ベニーニの指揮は職人的な手堅さで不足感はありませんが、ヴィルトゥオジティに欠けるMETのオケからはロッシーニの華やかな明るさというものが十分に引き出せてはいないような気がしました。






愛媛4区 桜内ふみき 公認会計士サイト運営者は桜内ふみき氏をサポートしています



人間力★ラボ



「人間力」エピソード





ナビ1
ナビ2
ナビ3
ナビ4
ナビ5
ナビ6


芦川淳氏   自衛隊vs.人民解放軍 我らもし闘わば
芦川淳氏   原子力空母ジョージ・ワシントンに乗ってきた!
芦川淳氏  沖縄の基地問題など、国防を考える3
田代秀敏氏 「混沌の大国」中国と中国人を知る

神保哲生氏  今更なんですが、「ジャーナリズムとは一体何なのか」
三神万里子氏 メディアの「情報信頼性評価基準」を考える

山田恭路氏 自然派ワインに首ったけ
川村武彦氏+山田恭路氏 「天才の国」イタリア自然派ワインの真実


野中郁次郎氏 ナレッジ・ワーカー育成講座
本間正人氏  コーチングは日本の「やる気」を呼び起こすか
三ツ谷 誠氏  市場、個人およびカイシャの一般法則
織田聡 氏   カイシャ文化の現在を問う

「国ナビ」で作った予算対案を衆院本会議に提出/桜内文城 氏
竹中平蔵氏  なぜいつまでたっても「改革」できないのか
中林美恵子氏 アメリカ議会に見る「機能する立法府」のあり方
瀬口清之氏  パブリックマインドとは何か

小西達也氏 「チャプレン」という仕事 ヴェルディ&ワーグナー生誕200年 記念座談会
爆笑座談  オペラ愛好家とはいかなる人種か?
METを観たら、METを読もう!
2013年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2010年夏のヴェローナ音楽祭/武田雅人
2007年夏のヴェローナとマチェラータ音楽祭/武田雅人
偏愛的オペラ談義

ネット起業! あのバカにやらせてみよう
ベネチア貿易船復元計画
江戸城再建計画
『日本の借金』時計への勝手リンク
12-13イタリア旅行
11ヨーロッパ紀行
04ヨーロッパ紀行
02ヨーロッパ紀行
フィリピン有情
佃点描
ぼくはこんな記事をつくってきた
余は如何にして編集者となりし乎
雑誌づくり講座

4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2014
4秒でわかる Pin Point ワールドカップ2010
日本のサービス、ここが間違ってる
爆笑! 四酔人サイト問答
女子大生版「日本のカイシャ、いかがなものか」 丸山真男と日本の外骨格
藤原正彦先生論文「国家の堕落」を読む
金融工学は製造物責任の夢を見るか?
酒飲みの「旅行話」
台灣好好 日本よりも日本らしく
さる名門女子大における恋愛論講義
人間力営業
「人間力」101本勝負メールマガジン
「人間力」とは、大人になることと見つけたり

最後に勝つのは「新日本人」だ
「新日本人/旧日本人」モデル
「新日本人」論 対話篇
「カイシャ主義」に挑戦! “オープンソース型ビジネスマン”の生きる道


誰が神を殺すのか
構造改革とは意識改革である
現代都鄙問答
一億総中流の倫理崩壊
完成! 「新日本人ルネサンス論」
日本人の田舎者意識の精神史的地位

鈴鹿市の見える歯科治療・歯科CT 仙川駅前の皮膚科・気管支ぜんそく 長引く咳  東京都 高輪矯正歯科・八重歯  税理士法人浅野会計 名古屋市の相続承継・会社設立 ひかり歯科 千葉のキッズ予防歯科 スタッフ 匝瑳市 デリバティブ 仕組債・仕組預金の商品分析に関する解説 他社株転換債 社員研修 マナー研修 身だしなみ愛西市近くの審美歯科

銀座の老視矯正 コンタクトレンズ制作眼科豊田市にある内科・点滴・相談漏斗胸・胸郭変成の外科治療専門サイト千葉市 心療内科・椿森・うつ医療ホームページ/クリニック/医院/診療所の集患増患コンサルなら

金沢区/内科 かぜ国立市/内科 糖尿病治療 中央線介護の管理者/アルバイト/パート|三重県鈴鹿市・安心シンプルな手術法、漏斗胸治療デザイナー求人戸塚クリニック 横浜市戸塚区 内科笹塚 メガネは眼科で相模原市南区の内科 動脈硬化

鶴見区/整形外科 リハビリ科浜松市/ALTA療法 痔の相談 薬物療法青森市役所横/横内耳鼻科医院開業セミナー
大阪市の肛門科専門医取得・静脈瘤治療・内視鏡検査アルタ療法講座 治療概念町田駅近くのたむら整体院サイト 顎痛松山の漏斗胸治療・救急科案内ル・サロン 柿本葛西駅/整体 頭蓋オステパシー 相談怪我やヤケドなら形成外科へ