運営者 2013年は、ジュゼッペ・ヴェルディとリヒャルト・ワーグナーがともに生誕200年を迎えるという、オペラファンにとって記念すべき年です。
そこで今回はオペラオタクのみなさまに、ヴェルディとワーグナーについて存分に語っていただきたく、座談の場を設けていただきました。ぜひケンカをせずに仲良くお話しいただきたいと思うのですが(笑)。
まず、ヴェルディとワーグナーのどちらを先に表記するかという問題がありまして、いちおうワーグナーのほうが5カ月先に生まれていまして・・・
武田 アルファベットでも片仮名でも、ヴェルディのほうが先ですよ。
手塚 作曲家のリストを見ていると、ドイツ系の作曲家はベートーベンやブラームスなどBで始まる人が多いのに、順番に見ていくと最後にヴェルディが出てきて、その後にワーグナーが出てくるよね。
武田 しかし日本語でヴァークナーと書くと、ワーグナーのほうがヴェルディより先になるという説も(笑)。
手塚 それはね、昔からNHKが年末にバイロイト音楽祭の中継をFM放送でやっていますが、以前は日本における学術的ワーグナー研究の大家である作曲家の柴田南雄さんが解説をしていました。私は柴田さんとは学生時代に大掛かりな合唱作品の委嘱プロジェクトでお世話になった関係で結婚式のときにも主賓の挨拶をしていただいたというお付き合いがありまししたが、彼は解説の時に必ず「ヴァークナー」と言っていたし、周囲にもそういうふうに言うように勧めていましたから。
I女史 もう一つカタカナ表記で言わせていただくと、「パルシファル」は「パルジファル」じゃないですから。本家本元のワーグナー協会がそう言っているので。
武田 「コジ・ファン・トゥッテ」(Così fan tutte)だって「コシ」じゃないし。
みなさん <あーだ、こーだ>
武田 パエリアかパエージャか。
運営者 ・・・と、話がなかなか始まらないので、じゃあ便宜的にヴェルディvs.ワーグナーの順に表記させていただくことと致しまして、ヴェルディのオペラの一番好きなところで何ですか、はい武田さん!
武田 いっぱいあるんだけど、まずコンチェルタートです。初期の作品から最後の「ファルスタッフ」に至るまで、ヴェルディのオペラには、ソリストと合唱とオーケストラの掛け合いであるコンチェルタートが必ず入っていて、それがヴェルディのひとつの大きな特徴になっています。これはヴェルディの醍醐味です。
例えば「マクベス」のダンカン王が殺された後のシーン
加藤 第一幕の最後のところですね。
運営者 王様が殺されました。民衆は嘆いている。登場人物たちは「自分たちの運命はこれからどうなるんだろう」と歌い上げる。不条理性の中で、運命のどす黒さが渦巻いているような・・・
武田 最初は皆とにかく凍り付いているんだけれど、まずア・カペラでソリストの歌の中にだんだん合唱が入ってきて、オーケストラが鳴って、あの盛り上げ方!