よく寝た。お兄さんがパンとコーヒーの朝食を持ってきてくれる。窓の外には延々と耕作地がうねるオーストリアの田舎の景色になっている。天気悪し。7時40分、電車はウイーン南駅に。さすがに寒い。
トランクを転がして切符売り場に。コンコースには、なぜか"サンマルコの獅子"のレプリカがおいてある。ここはベネチアへの玄関という位置づけなのだろうか。鉄道が敷かれた頃、1866年まではハブスプルクはベネチアを支配していた。しかしここを出発していた"南部鉄道"はトリエステが終点だったのだが。
1月16日ウィーン発ベネツィア行きのサンマルコ号の寝台の予約をする。タクシーを拾ってホテルへ。
ウイーンでの泊まりは、このホテルが最高だと思っている。なんといってもリンクを挟んでオペラ座の斜め向かいにある。外で遊んでから帰ってシャワーを浴びて、オペラが始まる10分前までベッドで寝転んでいるなんてこともできる。オペラの時間を気にしてハラハラしながらタクシーに乗るなどという必要はない。
規模が小さくて、静かだし、サービスが行き届いている。スタッフがホスピタリティにあふれている。カラヤンの定宿であったというのもよく分かる。前回来たときは、こことザッハーに泊まっていたが、ザッハーの値段を考えると、このホテルはお勧めだ。
それと、どんなに取りにくいチケットでも早めに頼んでおけば必ず手に入れてくれる。ウイーンではチケットの2次市場があるようだ。エージェントを通せば25%のプレミアムでかなりいい席を取ってくれる。ブラックマーケットだと、チケットによって値段が青天井になる。しかし、よほどのプラチナチケットでなければ、日本でコンサートに行くのよりは随分安く聴くことができるし、楽友協会のような最高の箱ではここに来なければ聴くことはできない。
ただし2年前までは家族経営のホテルだったのが、その家族がホテルを売却してしまったのでオーナーが変わっている。もう家族ではなく、近代経営だ。室内もずいぶんきれいになったみたいで、結果として値段が上がっているような気がする。しかし利便性を考えると、ペイするように思える。
ホテルで朝食を食べる。ここの飯はうまい。食堂は3階にあって、窓からオペラ座を眺めることができる。それから部屋に戻って、パソコンを接続。ギリシャに行っていた間見られなかったメールを整理し、メールを送ることができないので、必要なものについてはファクシミリで連絡する。
12時15分、今日の「ナブッコ」のチケットは日本からインターネットで予約しておいた。座席の指定までできるたいへん便利なものであるが、本当に予約できているのかどうかいささか心もとない。
オペラ座の隣のブロックにある国立劇場合同のチケット売り場に行ってみると、土曜日は12時までということで閉まっている。まずいなあ。6時半になったらオペラ座の当日券売り場が開くというので、おそらくそこで受け取ることができるだろうとタカをくくって、さて何をしようかと考える。ウィーン市内の観光は、ほとんど前回済ませてしまっているので、あまり見たいと思うものもない。