今日はプラハに行こうと思う。
地下鉄でウイーン中央駅に向かうが、南駅からしか電車がないことがわかり、あわてて取って返す。間違えていた。地下鉄とトリムを乗り継いで南駅へ。切符を買ってハンブルグ行きの列車に乗る。39.30ユーロ。
駅を出て程なくして列車は凍ったドナウ川を渡り、1時間ほどで国境を越えてチェコに入る。警察官がパスポートを見に来る。チェコに入ってすぐの辺りは、線路の両脇に工場が建ち並んでいる。チェコは19世紀の終わりには世界的に見ても非常に先進的な工業地帯だったわけで、このあたりはその名残をとどめているのだろう。
3時間ほどで、列車はプラハに着いた。さすがにウイーンよりも寒い。駅で両替をして、地下鉄で適当に街の中心部を目指す。24時間チケットは70コルナ。確かカレル橋が観光の中心だったはずなので、その辺に見当つける。
地上に出て、市役所のある広場を目指す。途中でツーリストインフォメーションがあるので「地図をくれ」と言うと、お姉さんは売り物だという。地図がないとどうにもならないので購入する。「ホテルリストはないのか」と訊くが、ホテルリスト自体を理解させることができなかった。この広場がおそらく旧市街の中心だったのだろう。中世の尖塔を伴った建物に囲まれた非常に美しい広場には、雪かきされた雪がそこここに大きく盛り上げられている。一番目立つゴシックの教会に入ってみる。巨大だが、あまり美的な印象を残さない教会だ。
教会の入り口近くに、CDショップがある。売られているのはクラシックばかり。値段を見てみるとかなり開きがあるが、そうたいして安いとも思えない。ここでも、コンサートのチケットを売っている。
広場のあちこちに、看板を持って立っている若者がいて、今日行われるクラシックコンサートのチラシを無理矢理手渡してくれる。それがどうやら、3種類か4種類ぐらいあるようだ。とにかくこの町は、クラシック音楽が盛んだということは分かるが、どうやら観光客目当てのものでしかないような気がする。到底時間をつぶす価値があるようには思えない。チラシを見てみると、例えばモーツアルトのレクイエムについては、「総勢50人、1時間のパフォーマンス」と書いててある。これはおそらく、室内楽のような編成のちゃちなコンサートが多く、それと区別するために書いているのだろうが、半分は自分もそういうもんだと白状しているようなものである。
広場に面して建つ教会は、非常に音響が良いらしく、そこでもコンサートをやっているらしい。これだけは行ってみる値打ちがあるかもしれない。ちゃんとしたコンサートはないのかなと、広告塔に張り付けてあるオペラ座や、チェコフィルの日程をみてみるが、今日はどうやら何もなさそうだ。あとは人形劇が有名なのだが、別に見たくもない。ウイーンでレベルの高いものを見ているので、変なものを見て感覚を崩したくない。