またしてもMD80。機内食を食べ爆睡しているうちに午後10時40分アテネへ着陸。隣にパーサーが座ったので、市内までどのくらいかかるのかと訊くと、「新しくできた空港なので市内から40キロ離れている」とのこと。目の前が真っ暗になる。ホテルも予約していないし、どうしたものか。
入国審査などはない。
空港は新しいのだが、設計に工夫がなくあまりにもつまらない造作である。19世紀まで西洋建築の外壁の装飾様式を一手に独占してきたギリシャ人だが、現代のギリシャ人には建築のセンスはあまりなさそうだ。
とりあえずトランクを受け取って、インフォメーションへ。ホテルはどうすればいいかと訊くと、「あっちに旅行代理店がいっぱい並んでるからそこに行け」と言われる。トランクを転がして代理店のカウンターに行くと愛想のいいおじさんが、「72ユーロで4つ星ホテルがあるよ」と言う(どうもイタリア風に「エウロ」と発音するクセが抜けない)。めんどくさいのでどこでもいいと思いそこにする。ついでに「デルフィに行くツアーはないか」と言うと、「水曜日と日曜日にしかないからだめだ」と言われる。
市内に行くには、地下鉄の開通はオリンピックを待たなければならないので、95番の路線パスに乗ることになる。チケットは24時間有効で、2.90ユーロ。代理店で購入した。バスは満席である。11時40分、バスは発車。ほぼ1時間かけてアテネ市内に到着する。バスが走り出してすぐ気が付いたのだが、かなり雪が残っている。そういえば、イタリアに着いたときにニュースで、アクロポリスの丘に雪がどんどん降っている映像を放送していた。聞いてみると、アテネに雪が積もったのは60年振りのことなのだそうだ。これも日ごろの行いが悪いからだとしおらしく反省する。
ホテルは、この95番のバスの終点の真向かいにある。タクシーの客引きが、「タクシーはいらんかね」と声をかけてくるが、「わしのホテルはここじゃ」とホテルを指さして追い払うことができる。ザマミロ。
このホテルは、安く旅をしようとする人には大変お奨めである。まず本当に安い。何日間泊まるかと聞かれて、「じゃあ3日泊まろうかなぁ」と言うと、値段が63ユーロに。さらにコンピュータをいじって安いレートを探してくれて60ユーロにまで下がった。一応4つ星ホテルなのでずいぶん得をした気分になる。
イタリアから来てここで非常に強く感じたのは、ギリシア人はイタリア人に比べると非常に信頼できるということだ。やることに間違いがない。これは頼りになりそうだ。
それともうひとつは、このホテルは非常に便利なのである。真ん前が、空港に行くバスの終着点であること。市内の中心のシンタグマ広場に行くにしても、アクロポリスを見に行くにしてもすべて徒歩圏である。
さらにパッケージツアーでギリシアを旅する人にもバス停が側なので便利だ。考えてみると、さっきの旅行代理店のおじさんは曜日を間違えている。明日が水曜日なのでデルフィへのツアーはあるはずだ。「これに参加したい」と言うと、なんとこのホテルを経営している会社がツアーを主催している会社なので、すぐにツアーがあるのかどうか電話で確認して予約してくれた。代理店を通さないので、常に表示料金の15%割引だという。深夜の1時にである。ツアーが出発するのもこのホテルの隣のブロックからであり、8時15分にロビーに降りてくればバスまで連れていってくれる。
そういうわけなので、安くて便利なこのホテルは、設備さえ気にしなければ非常にお勧めだということができるだろう。ただしパソコンに接続することはできない。ギリシャ滞在中は私はメールを見ることができなかった。