ペリクレス
レストランに入ってみると、やけに混んでいると思ったら、15人ほどの日本人の団体客だ。ただでさえうるさいのに、ツアーコンダクターの若いお姉さんが、また遠慮のないおばさんくさい女性で、大声ではしゃいでいる。大変なものである。
無視してダルマキアというのを注文する。これは肉団子をぶどうか何かの葉っぱで包んだ料理だが、味は非常にうまい。ワインはレツィーナ。それとお約束のシシカバブを頼んだ。塩気がちょっと強い気もするが、さすがにうまい。非常に気にいった。ギリシャ料理はまずいというが、この店は余裕で合格だ。
やかましい日本人観光客たちは、各々が、この店で出たワインをお土産に買って、店の中で全員で記念撮影をしてから帰っていった。正直いなくなってほっとした。
シシカバブ 食後酒にメタクサも頼む。「セブンスターだからいい酒だよ」と自慢している。日本人観光客が帰った後、ウエイターは、私のテーブルに来て話し込んだ。アゴラの端っこにある外国人観光客向けのレストランで6年間働いて、去年この店に移ったそうだ。この店は家族でやっていて、ホームメイドなので非常に美味しいのだそうだ。またオーナーは片方で大変有名な酒屋も経営しているので、酒もうまいものが手に入ると言いながら、食後酒を追加サービスしてくれた。何かデザートをというと、これはギリシャ風だよと言って、ケーキを持ってきてくれた。いやらしくない甘さのケーキだ。外皮の部分がなんともいえず甘くておいしい。どうやったらこの甘い部分ができるのだろうか。中味はナッツが入っていていい具合だ。
「この国の人たちはホスピタリティにあふれてるね」と言うと、「9月11日のテロ以降はアメリカ人観光客が来なくなっているので、ますますサービスがよくなってると思うよ」と笑う。
それから政治についての文句になった。彼はこの国には政治がないと嘆く。以前このサイトでも書いたが「Z」という映画のモデルは、実は軍政下のギリシアだったんだそうだ。まあ政治がないのは日本も一緒なのであまり問題とは思わないが。
店の内装には、壁画が描かれている。古代ギリシャ時代の様子を描いたもので、アクロポリスの下で市民と対話する民主主義の完成者ペリクレスやら、祭りで踊りに興じる民衆の姿などが鮮やかに描かれている。なにやら有名な画家の作品で、随分高いといっていたが幾らだか忘れてしまった。
気持ちよく酔っ払ってホテルに帰って寝る。