ネコとガイドとアテネの街 まあそんな説明でツアーは終わりである。あとは小一時間自由行動があり、バスで市内に戻りたい人は12時15分にバスの前に戻るれと言われる。ツアー客の回りには、またしても毛並みの良い猫たちが群れて愛きょうを振りまいている。ガイドのおばさんは、「さあ皆さんネコたちと遊ぶ時間がたっぷりありますよ、明日はキャットフードを持ってこようかな」などと言っている。
アクロポリスの丘から眺めるアテネの街は壮観である。足元に、さっき訪れたポセイドン神殿が見える。現在のアテネの街で、古代ギリシャやローマを感じさせる遺跡はこの2つしかない。
それにしても天気が悪い。ちょっと晴れ間ができて日が差しているくらいだ。
ガイドにお礼を言って、アクロポリスの正面に向かって遠慮がちに立っている、アクロポリス博物館に行ってみる。この博物館は、入口が地下になっており、博物館の建物自体はアクロポリスの丘の中にすっぽりと隠れるように作ってある。景観への配慮を最優先した設計だ。
ミネルバの梟は夕暮れに飛び立つ ヘーゲル 博物館の入り口では、アテナイ神(=ローマでミネルバ)のシンボルである梟が迎えてくれる。彼女は梟が好きだったらしい。
そろそろ日本も夕暮れなのだが、新しい認識を受け容れる土壌はできつつあるか?
博物館では、まず紀元前330年ごろのアレクサンドロス大王の立像の頭部発見。紀元前4世紀ごろのとんでもなく古い立像がたくさんある。みんなアルカイックスマイルで微笑んでいる。アクロポリス神殿の屋根の飾りのうち、持ち去られなかったものも展示してある。エレクティオンの少女たちも4人並んでいる。たいへん印象的な展示だ。
博物館を出て、アクロポリスの丘の端にある展望台に行ってみる。ここでギリシャの国旗がはためいている。丘から下を見下ろすと、高さ100m近い絶壁になっている。西側の方をみると、紀元前5世紀にできた市民の集会の場であるアゴラの跡が見える。これから降りてここに行ってみようかと考えたが、なんだか薄日がさしてきている。ひょっとして天気が良くなれば、スニオン岬に行って夕日を眺めることができるかもしれないと思い直し、アゴラに行くのは明日にする。
ほいほいと、アクロポリスの丘を下りてくる。公園の入り口から市内に降りてくる道はきれいに整備されていて、どうやら高級住宅街のようだ。壁面をきれいな大理石で貼ったり、壁画を描いたりしている家が少なくない。
似てる。 土産物屋もある。その道が降りてきて、ポセイドン神殿のある空き地に突きあたるところにメリナ・メルクーリの胸像がある。似ている。しかし女性の胸像というのは珍しい気もする。
市内にはギリシャ正教の教会が目立つ。当然か。
ギリシャ正教の教会は、イタリアの大伽藍に比べると、とても小振りである。ひとつ見てみたいものだと思って、手ごろな教会に行ってみるが、入口は閉まっている。程なく歩くと、ホテルの前に着いてしまった。さてどうしたものか。
空模様を見てみると、やはり曇りのままである。雄大な日の入りの景色で知られるスニオン崎は無理か。さて、半日どうしたものか。結局市内観光をすることにする。
シンタグマ広場まで歩いてくると、山積みにしたパンをおばさんが売っている。丸いねじりパンで、ゴマがついている。ひとつ買って食べる。みんなもスナックのように食べているようだ。地下鉄の入り口を探すが、見つからない。