それで晩飯だが、うまいものが食べたいので8時半に、やっぱり昨日の店に行ってしまう。
まず食前酒にウゾを飲む。これはギリシャ焼酎である。水をグラスの縁まで足すとちょうど飲みやすい感じに薄まる。今日は何か魚を食べたいと言うと、鯛を見せてくれる。じゃあこれを丸1匹食べることにする。魚を持って臭くなった手はレモンを絞って擦り合わせ、タオルで拭くとばっちり臭いが消えるというのは初めて知った。
焼きあげるのにかなり時間がかかる。その間に絵はがきを書く。グリルが出来上がってきた。マジでウマイ。塩加減が最高だ。今まで食べた鯛の中で一番うまかったかもしれない。
昨日と同じデザートを食べ、ギリシアコーヒーを頼む。ギリシャコーヒーにはミルクは入れるなといわれる。それにしてもこの底にたまった粉は何なのだろうか、粉を飲んでいるようなものだ(どうやら粉は沈殿させるものらしい)。単純なブラックとも違ううまみがある。その後ジプロとかシプロとかいう食後酒を愉しむ。かなり幸せになれる薬である。本当に楽しく食事ができた、とは言えさすがに腹一杯になった。
酔っ払ったらありがちなことだが、この店で教えてもらったギリシアの歌手が出ているという店に行くことにする。
ギリシャでギリシャの歌手が歌っているのは何だか当たり前のような気もするが。英語ができないこの店のオーナーのオヤジが店まで連れていってくれる。途中で彼がやっている酒屋の横を通る。このあたりはプラカ地区と呼ばれる旧市街で、観光客向けの土産物店などが多い。非常に趣のある町並みである。
ライブハウスの切符売り場に行ってオヤジが切符を買ってくれるが、切符売り場の人にオヤジの分まで切符を買わされそうになってあわてて断っている。かなりまぬけである。
入ってみると立ち見席だ。ウイスキーを飲みながら聞いている。声量のあるおばさんが歌っていて迫力があるが、「イマジン」など現代的な音楽ばかりなので面白くない。15分ほどで飽きて、ホテルに帰って寝る。