こうした展示物は正面から見て右側の建物の方に収められている、左側の別館には、1937年の博覧会のために作られたコンスタンチヌス帝時代のローマの約50分の1の模型がある。
これはまさに圧巻だ。フォロロマーノを中心に、巨大な公共建築がすき間なく建ち並び繁栄を誇った百万都市ローマの姿がここにある。それらの建物は、文明化された社会にとって必要なすべてのものを過不足なく包含している。まさに人類が到達したひとつの頂点である。
それらの建物の中には、パンテオンのように現在でもなお当時とまったく同じ姿をとどめているものも少なくない。現在残されている遺構はごく一部でしかないが、それから推測しても、いかに巨大な建造物群であったかということは容易に推察される。郊外から街の中心に集まって伸びてきている水道と同様に、世界のすべての富と情報が集まり、同時にここで作られた法律や文化が世界に向けて発信されていった、文字どおり当時の世界の首都であり中心である。実にローマは偉大だった。
最新の考古学の成果に基づいて作られたこの復元模型自体が、人間の持つ力の豊かさと普遍性を訴えかけているかのようにも思えなくはない。実に一見に値するものだと言えるだろう。私は今回十分堪能することができた。
感激を胸に、エウルフェミニの地下鉄駅に向かう。どうもこちらの駅の方が近いような気がするのだが、気のせいだろうか。気のせいだと思って、深く考えずにコロッセオで降りる。地上に出ると、目の前にさっきの模型の中でもひときわ巨大建造物として目を引いていたコロッセオが青空の中に立ちはだかっている。収容人数5万人のスタジアムである。
以前来たときには入場料は取っていなかったのだが、最近は取るようになったみたいだ。入ってみたいのだが、時間がないので、今回はフォロロマーノ優先である。やはりここに来なければ、ローマに来た意味はない。