さて今日は、念願のポンペイに行こうと思って、朝早くから起きていそいそとチェックアウトの準備をし、ピッツエリアに降りていく。ここのオヤジは、英語が全然分からない。朝食を食べて、「クレジットカードで支払いをしたい」と言うと、どうやらカードリーダーが使える人が来ないのでできないらしい。さて困った、時間の無駄である。そこで、このホテルから2ブロックしか離れていないところにあるある、国立ナポリ考古学博物館に行くことにする。ここに確か、ポンペイで発掘されたアレクサンドロス大王とダリウス3世のイッソスの戦いのモザイク画があるはずである。
今日も空が青い。
でかいです。 考古学博物館は、たいそう立派な建物である。6.5ユーロ。愛想の悪いおばちゃんから切符を買って、入館する。緑が茂った中庭がきれいである。1階にはローマ時代の彫刻が置いてある。お馴染みのアウグストゥスやマルクス・アウレリウスといったローマの皇帝たちも通路の両側に並んでいる。入り口からちょうど反対側に展示してあるローマ時代の巨大な彫刻の数々は、見事なものである。カラカラ浴場などに置いてあったものだ。
どうでもいいのだが、博物館の中には博物館のスタッフと思われるおじさんやおばさんたちがいっぱいいて、彼らはとにかく声高に話している。展示物に注意を払っている気配はない。それでなくともこの建物を中は反響が大きいので、やかましくてしょうがないしい、通行にも邪魔である。いったい彼等は何をしているのか、単に日曜の朝から雑談をしに来ているのか、それともこれが仕事なのか判然としない。
では、変な人間がたむろしているだけなのかというとそんなことはなくて、おじさん達は外見上はロバート・デニーロのようないい顔をしているので、そう怪しい感じもしないから余計に妙だ。
地下に降りると、これはエジプトの古代文明の発掘品の展示である。めまいがするほど古いものが並んでいる。しかも点数が多い。こんなものを丁寧に見ていると今日一日持たないと思うので、適当に流す。地下1階の展示は通り抜けかきかず、また来た道行き返さなければならない。美術館の中はやたら広いので歩くだけでも骨である。
「アレクサンドロスのモザイクは中二階にある」とインフォメーションのお姉さんが言っていた。階段を上ってポンペイから発掘されたモザイクが展示されているコーナーにたどり着く。紀元1世紀の人々の生活の息吹を今に伝えるモザイクである。
犬がワンワン吠えている単純な絵柄のものがあるが、これは家の入り口にあって、「猛犬注意」と書かれているのだそうだ。そいう単純なものから、隅々までモザイクで装飾した高度な柱まで展示されている。
ポンペイにあるレプリカ お目当てのアレクサンドロスのモザイクは建物西端の壁に掲げられている。BC333年にダリウス3世を撃退したイッソスの戦いの様である。モザイクは大きなかけらや小さなかけらを使い分け、非常に細かい表現を可能にしている。石の断片を並べて、このように活き活きとした表現も可能にするのは、まさに文化である。
日本人がゾロゾロやってきたな、またどこかのツアーだなあと思っていたら、突然「岡本さん」と声をかけられたのには驚いた。『慮る力』の版元ダイヤモンド社のMさんである。母上と旅の途中であらせられるとか。「今現在私はメールが読めるけれど送信できない状態なので、そのことを帰ったらまわりの人に伝えて欲しい」とお願いする。
この隣の部屋にもポンペイで発掘された物品が展示されていて面白い。私の目的はこれで終わりなので、2階は省略して降りてくる。