編集者は担当ページに責任を持っている
現状どうなっているかなんですけどね、読者調査をやってみたんですよ。
役職者の方が半分くらいいらっしゃって、年収も非常に多くて、1億円以上金融資産を持ってる人というのが8%くらいいる。これは、「非常にうちの読者はお金持ちなんですよ」と言い張ってる「日経ビジネス」とかああいう雑誌で3%くらいなんですよ。だから、われわれがことさらに強調したわけじゃないんですけれど、お金を持ってる人が読んでいるということは事実なんですね。
さっき申し上げたブランド・アイデンティティを追求することで、読者属性がついた雑誌になっているということで、まあ一応、属性的には狙いどおりのところにきているかなという感じですね。
広告なんかは、非常にもうクライアントの人はみんなFJを知ってるんで、非常に感触が良くなってるというふうなことがあって、まあ状況はよくなってきてますね。
それで一応話を元に戻して、昨年2004年4月に僕はここに来ました、というところまで戻っていただいて。
そうすると、僕の仕事は雑誌を作ることを請け負ってるわけですから、編集者を作らないといけないんですよ。
どういうことかというと、雑誌っていうのはどう作っているか。チームで作ってるわけではございません。つまり、ページには「担当者」っていうのがいるんですよ。担当者が単位なんですね。担当者が企画というかページに責任を持つ。
編集者は、自分で企画を出して、編集長からページをもぎ取るんですよ。僕なんかどんな感じだったかっていうと、「プレジデント」の編集ページが200ページであると、50ページ以上もぎ取ってたわけです。企画を8本とか9本やって。編集部員は13人いるんですよね。そうすると、なんか計算が合わないなという感じもするんですけれど。自分がやりたい企画を、とにかくネタとして入れて載せるっていうことで、筆者や取材先との関係も作っていくし、ネットワークも広げていくということをやるんですよね。基本的に。
たとえば「プレジデント」だったら、編集者が9人いて、デスクというのが3人いて、編集長が1人いるみたいな、そういうのがまあ基本的なパターンですね。
で、僕もやってみてわかったんだけど、デスクというのがやっぱり必要なんですよ。「田中角栄研究」をやった時の「文藝春秋」の編集長だった田中健五さんに「編集長の仕事って何ですか?」と聞いたら、「それはデスクを2人作ることですよ」と。
デスクの機能をどういうふうに説明したらいいかということなんですけど、まず一つは、デスクの下に編集者を何人か、4人なら4人配置するとするじゃないですか。そうすると、企画とかについての相談はデスクにするんですよね。デスクが取りまとめるんです。
編集長は、よくできたデスクがいれば、大まかな方向を指示するだけで済むんですよ。よくできたデスクがいなければ、編集長が自分でやらないといけないわけです。
どっちが強い編集部かといったら、ちゃんとしたデスクが2人いる方が強いんです。なぜかっていうと、この2人が競い合うからなんですよ。それがやっぱりマネジメントのひとつの基本だっていうところはあると思うんですよね。最終的にはこの2人のうち、どっちかが次の編集長になって、どっちかは書籍部門に回されちゃうんだと思うんですね(笑)、普通の出版社だと。