インタビュー能力
2番目に「取材や執筆依頼をする能力」というのがあるわけです。
インタビュー能力が必要です。インタビュー能力は、持ってる人と持ってない人との差がかなり激しいです。ダメな人はまるっきりダメですよね。
これはもう、インタビュー能力にしても、あるいは「関係構築力」というのはどういうことかというと、インタビューする時に、相手と「ラポール」って、架け橋を心と心の間に架けないといけないわけです。相手が「言いたくない」と思っていることを聞き出さなきゃいけないわけなんで。普段は言わないことや、ちょっとはずかしいけれど本当はそう思ってるんだということを、聞き出さないといけないわけですから。すると、相手と相手の間に信頼関係ができなきゃいけない。
1時間半インタビュー時間があったらば、ずーっとそのラポール架けをやってるんですね。そうすると、最後の最後にいい話が取れるわけですよ。その時点でもう人間関係ができてるから。
たとえば、筆者との関係でもそうなんですよね。5年ぶりに電話して「先生お願いします」と言っても、「あんただったらいいよ」というふうに言われるという関係を作る能力ということなんです。それを何人の人間と結ぶかっていうのが、編集者の非常に重要な能力だと僕は思ってるわけです。
これは、インタビュー能力とほとんど近いものがあるんですけどね。相手と信頼を築くことさえできれば、どんなに話が下手くそでも言ってくれますよ、少なくともインタビューをOKしてくれた人は。
で、じゃあ「インタビューしました! ネタが取れました! 原稿もできました!」。その次に必要なのが、記事を作る力。文章力です。
これは、自分が記事を書かなくってもリードを作ったり、小見出し作ったり、タイトル作ったりしなきゃいけませんからね。そうすると、コピーライティングの力というのが必要になってくるわけです。
じゃあ、コピーライティングの力というのは一体どこから出てくるのかというと、これはやっぱり本当のことを言うと、本当のことを言うとまずいかもしれないんだけど(笑)、どれだけやっぱり文章を読んでるかなんですよね。
古典でもそうだし。でも古典だけじゃないですね。今の流行りというのがあるんですよ、やっぱり。だから、雑誌なんかでも今風のコピーとかタイトルってあるんですよね。
あともう一つは、笑いのセンスを持ってるとか、何かに引っ掛ける。タイトルって、僕は基本はパロディーとかパクリだと思ってるんですね。映画のタイトルに引っ掛けるとか、有名な小説に引っ掛けるとか。そういうのが強い力を持つタイトルになるんですよ。だから、そういうのをいっぱい読んでて、いっぱいいろんなものを見てて、それを凝縮したものとしてカチッとはまるタイトルを作ることができなきゃいけないんですね。
どんな感じかというと、原稿がありましてね、それで読むと中身がわかるじゃないですか。それにタイトルをつけるんだけれども、いろいろこういっぱい書いてみて、これも違うあれも違う。でもね、タイトルにできるのっていうのは、カチッとはまってるんですよね。これだなっていう感じのものなんですよ。
今、FJではどういうふうにしてるかというと、下から上がってきたタイトルを僕の方で直して、直したやつを「タイトル会議」っていうのにかけてるんですよ。みんなでワーワー言いながらタイトルを全部決定していくような形にしています。