マンハッタン
METを後にして、マンハッタンを下る。私にマンハッタンの夜景を見せてくださるというのだ。しかしものすごい渋滞だ。マンハッタンは、一ブロックが200メートル×80メートルの街区で整然と区画されている。渋滞でないときは、車は信号に引っかかることなくどこまでもスイスイと走ることができるが、一定量以上の車が島に流入すると、どうしようもない状況になるのだ。ブロードウェー、7番街を下って、1時間近くかかって車は美しいブルックリン橋をわたり、橋のたもとリバー・カフェに到着する。
ここから見るマンハッタンの先端部の景色は素晴らしい。島の先に行くに従って、土地がすぼまって足りなくなった分を無理に上に積み上げたように、ビルが櫛比する。遠方に、燈火を掲げた自由の女神が小さく見え、上空を遊覧ヘリコプターが飛び交っている。土曜だが常夜灯がともされたオフィスも多い。これらのビル群は近代的なフォルムにもかかわらず不思議と無機的な印象を与えない。これらを作ったのは人間の営みの力であり、アメリカの持つ力の表出であることを、巨大なビル塊は雄弁に物語っている。これこそがNYの光景の魅力である。
しばらく川風に身を晒した後、K家に向かう。しかしスタート直後、一家のH君が空腹に耐えかねて泣き出した。急遽、ブルックリンのバーガーキングに立ち寄る。ブルックリンは、現在もっとも治安が悪化している地区である。母子を車を残してバーガーキングに入店する。うーん、町にも店の中にも黒人しかいない。店が何となく汚い。キッズ・メニューを注文しても、なかなか品物が出てこずやきもきする。だが、一応店員はマニュアル通りの対応をし、働いている。この連中を使って収益を上げるのだから、日本に比べてマネジメント・ノウハウが向上するのは当然だと妙に感心する。
40分後、NY郊外の高級住宅地RYEにあるK家に到着。瀟洒なタウンハウスである。家賃は月2000ドルとかなりなものだ。アメリカ最初の晩餐は、土鍋をごちそうになる。土鍋なんかウチにもない。午前2時就寝。