借金時計
ミッドタウン・トンネルを通って、マンハッタンに上陸する。町はクリスマスの飾り付けで満艦飾である。摩天楼を仰ぎつつ通行していると、以前から作ればいいと思っていたものが実現されているのを発見する。6番街42~43丁目あたりのビルの壁面に設置されている電光掲示板。
「OUR NATIONAL DEBT $5,257,336,718,2×× YOUR family share$68,110」
THE NATIOAL DEBT CLOCKというのである。××の部分は利子の付加により常に変動し、借金が常にかさんでいることを印象づけている。
私は以前から、これを国会に作れといっていたが、町中に作る方が良さそうだ。地方の負債を含んだ金額かどうかは分からないが、日本では4.5兆ドルと考えられるので、金額でもいい勝負だし、アメリカを追い抜くのは時間の問題だ。さらに一家庭あたりでは、はるかにアメリカを上回っている。これを銀座や新宿にも作ることができないだろうか。
(後記) 今日では誰もが焦眉の急と認める財政赤字問題の認識も、この当時は全くないに等しかった。経済ジャーナリストの財部誠一さんに、これをご紹介したところ、「面白いので公聴会で紹介しよう」ということになり、このページに掲出した写真を拡大して1月21日の衆議院予算委員会公聴会で、彼の証言の冒頭で紹介し、好評を博した。その後、インターネット上に日本版NDC「日本の借金」時計を作成した。たびたびテレビ番組でも紹介している。
税収が上がって公的債務返済のメドがつき、減税までしようとしているアメリカ、痛みにおののきつつやっと改革に手をつけようとしている日本、96年時点では同じようなところに立っていたのに、その後の対比はあまりにも鮮やかだ。
ロックフェラーセンターで大統領のクリスマスツリーを見て、音楽の殿堂リンカーン・センターの駐車場に滑り込む。メトロポリタンオペラの窓口で30日の「ヘンゼルとグレーテル」と4日のマチネ「トスカ」のチケットを買う。いつも海外でやっていることだが、街に着いたら一番にオペラ座や劇場に行ってチケットを買うのだ。公演内容は、インターネットで調べておいた。インターネットよありがとう。さらにショップを覗くと、ビデオが安いことに気づいて驚愕する。日本なら2万円弱のビデオが39~49ドルで手に入るのだ。ちゃんと英字幕もついている。さっそく大量に購入して、K夫妻に日本に郵送してもらう。