モール
12月29日(日)
午前9時起床。朝食をいただき、再び4人で出発する。なるほどこの町は豪邸の立ち並ぶ高級住宅地だ。化粧品のエイボンの本社がある。また市がゴルフ場を持っていて、市民は格安でプレーすることができるという。
近所にできた新しいモールに行く。駐車料金1ドル。こうすると変な人が駐車場に入ってこないそうだ。ノードストロームの郊外型百貨店と高級専門店街から構成されるピカピカの施設である。K夫人、靴を買う。このモールのすぐ裏手にブルーミングデールズが単独で郊外型百貨店を出店している。私はそこで下着を購入した。
値段の善し悪しはよく分からないが、アメリカの小売業はやはり日本に比べて格段にスクラップアンドビルドが進んでいるようだ。大規模なモールや郊外型百貨店、アウトレットショップだけでなく、酒屋や食料品店、文具店、レコードショップなど、日本とは比較するのもばかばかしいほど豊富な品揃えを持つ商店が、都市の郊外に驚くべきスピードで展開しているのだ。前述した交通インフラが整っているのも急展開を可能にする一因だろう。スケールメリットで流通コストは低く押さえられ、物価上昇の抑制要因になっているはずだ。
なんでもそうなのだが、想像していたよりきれいなのは、景気がいい証拠だろう。そしてこの国の経済にはダイナミズムがある。国全体が脱皮し終わったような印象を与えられた。これに比べれば、日本は脱皮にも高いコストがかかっているようだ。
規制緩和が進んだ場合、経済全体が悪魔のサイクルに入ってしまえば、経済活動の進行は遅れて景気は停滞するだろう。しかし、良い方向に行けば、不効率なものはどんどん競争に敗れて捨てられ、新しい経済主体がすばやくそれに取って変わる。停滞なく投資と回収が進んで景気は良くなる。今のアメリカがまさにそういう良い循環に入っていることを実感する。
その近所の日本食料品店「大道」に行く。日本の食材は紀文はもちろん、大根のような野菜まで揃っている。輸入品は確かに倍くらいの値段だが、何でも手にはいるだけNYの日本人は恵まれている。店内では、日本語しか聞かれない。「大道」の2軒隣にビデオレンタルの店がある。日本の人気テレビ番組を版権無視で録画して貸し出すという店で、これについては著作権協会も大目に見ているようだ。だいたい2週間遅れくらいで、ドラマもバラエティも到着するらしい。この店の奥には古本コーナーがあり、これまた膨大な品揃えを誇っている。NYにすむ日本人は6~7万人といわれるが、下手をすると全く英語を使わずに日本人だけのコミュニティで暮らすということも可能であろう。
RYEの町に戻り、ファミリーレストランで遅い昼飯を食べる。私はステーキにした。ファミレスといっても、すかいらーくのように安っぽくなく、しっかりしたものだ。店舗作りでは明らかに日本のファミレスの上を行っている。たらふく食べてチップ込み50ドルだったから安いし、子どもにはクレヨン2本つきの塗り絵をくれるなど、サービスも充実していた。内容的には日本のファミレスを上回っていると感じる。