ワシントン.1
1997年1月1日(水)
8時30分起床。ワシントンに持っていく荷物をより分け、鞄に詰め込む。後はスーツケースに放り込む。9時30分、フロントにてチェックアウト。料金明細は、明け方、ドアの下から差し込まれていた。巨大ホテルは、愛想のないものである。電話代が高いのに驚愕。
支払後、おねえちゃんに「4日、5日の予約をしたいんだけど」と頼むと、名刺を渡され「ここに電話しろ」と笑顔で言われる。うー、そんなあ。しかし、ひょっとしたら特別のディスカウントをしてくれるのかもしれない。翌翌日、ワシントンのホテルから電話すると、何度かたらい回しされたあげくに「189ドルです」と言われる。30ドル安くはなった。しかし元々がホリデー・シーズン料金で高かったのではないだろうか? わからないが。
「じゃあ、荷物を預かってくれ」というと、あそこに行けと指さされる。スーツケースを預けると預かり証をくれたが、それには業者名と荷物の補償内容が細かく書いてあるほか、「なお料金にはチップは含まれていません」と朱文字で大書してある。金とるんじゃねえか! なんちゅうホテルだと憤慨する。高いばかりでサービスは悪い。しかし安全は安全か。
「ラ・ガーディア空港にはどうやったら行けるか?」と聞くと、向かいのブロックの系列ホテルからバスが出ているという。10時、小型バスが迎えに来る。これで飛行機に乗れると思ったら、グランド・セントラル・ステーションそばのバス会社の待合所でおろされ、ここで待てと言われる。不自由なもんだ。狭苦しい待合所の中は、白人、黒人、黄色人種の旅行者で押しくらまんじゅう状態だ。おいおい、こんなとこでホットチョコレートを飲むなよ。
10時40分、大型バスで出発。マンハッタンを後にする。途中、交通事故があったらしく渋滞してうんともすんとも動かなくなる。後ろの方からパトカーのサイレンが迫ってきた。と、前の方の白いセダンから、緑色のベレー帽をかぶったおばちゃんが出てきて、いきなり交通整理を始めた。短い腕をせわしなく振って、路側帯に車を次々と誘導し、パトカーの通り道をつくっている。おばちゃん、面白すぎるよ。やがてパトカーが通り過ぎると、ウソのように渋滞も解消した。
ラ・ガーディアは航空会社別に4つのターミナルに分かれており、USエアシャトルに乗るため最後までバスに乗っていたのは私だけだった。人気ないのかなあ。USエアーのターミナルは、日本の地方空港と全く同じような外観だ。ピッカピッカで新しい。列に並んでボーディングパスをもらおうとしたら、「荷物がないなら搭乗口へ行け」と言われた。どこに座ってもいいといういい加減な飛行機なので、これでいいのだ。こういうのは、昨年ベルゲンからストックホルムまで乗ったスカンジナビア航空以来だ。
そこで待合い室に向かう。登場客は、新聞雑誌読み放題で、なかなかサービスがいい。スタンドでサンドウィッチとコーラを買って食べる。シカゴから来たという日本人駐在員夫婦にあった。正月休みも南の方は満員で取れなかったので、しょうがなくワシントンへ観光に行くという。悪かったねえ。
13時離陸。眼下に、素晴らしいマンハッタン島のパノラマが広がる。これは壮観だ。ミッドタウンとファイナンシャル・ディストリクトのあたりから、にょきにょきと高層ビルが盛り上がっている様子がよく分かる。だがすぐに景色は単なる田舎の光景に切り替わる。ピーナッツが二袋手渡され、コーラを飲んでいると1時間でワシントンに到着だ。ワシントン記念塔をかすめるように低空飛行して、飛行機はナショナル空港に到着する。これがアメリカの首都か……。