フィリップス・コレクション
1月3日(金)
8時30分起床。朝食をいただいてから、9時30分ごろ、手塚さんの運転する車で出発。10時、フィリップス・コレクションに到着。ここでルノアール、モネ、セザンヌなど印象派の作家たちが、川や海などの水面を描いた作品を集めた特別展をやっているという。切符を買って3階に上がる。さほど広い展示スペースではないが、展示内容は素晴らしいものである。道理でこの混雑だ。ルノアールとモネが同じ場所を描いたという興味深い競作が2つある。特にこの美術館の持ち物であるというルノアールの「船上の昼食」という絵は実によく描けた素晴らしい作品だ。また、シカゴ美術館から「船上の昼食」に描かれた同じ少女をモデルにして書かれたルノアールの逸品も来ていたが、これも実にいい。
常設展はやはり印象派が充実しており、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、カンディンスキー、ピカソ、ブラックなどが楽しめる。この美術館は1921年、個人コレクションを公開したアメリカ初の近代美術館なのだそうだ。
11時、昼までに時間があるので、手塚氏の事務所に立ち寄る。キリスト教系の学校のやっている事務所ビル。地下駐車場に車を止めてエレベーターで上がる。日興リサーチの駐在員が顔を出す。
12時、タクシーでナショナル・プレス・ビルにある日経の支局に手塚氏とTAXIで移動。この日の「ワシントン・ポスト」の1面に載っていたが、前日に、このビルのサウジアラビアの新聞社に手紙爆弾が送られてきたのが2通発見され、ビルは総員退去させられたそうだ。全米で8通見つかったという。中継車がビルに横付けし、警戒厳重だ。支局長に挨拶。M記者とO記者に会う。応接室のテーブルの上に、落合の顔が表紙になっているプレジデント1月号発見。こっ恥ずかしい。少し支局内で話をして時間を潰してから、1時15分、シーフード・レストランへTAXIで向かう。
レストランで、1.5キロの巨大なロブスターの塩茹でにありつく。こんなものは初めて食べた(レッド・ロブスターにも行ったことがない)。たいへん美味である。M記者は、FCCにきちんとルートをつくって取材活動を行いスクープをものにしている。すごいことだ。郵貯民営化を中心とした行政改革案について盛り上がる。
3時15分、TAXIでユニオンステーションに向かう。2階のカフェで、議会テレビC-SPANの日本法人に勤める池原麻里子さんに会う。ソニー出身、ジョージタウン大学大学院卒業。アメリカ議会についてもっとも詳しい日本人である。
しかし、私は彼女にNPOについての話を根ほり葉ほり伺った。C-SPANもNPOである。日本では、今国会にNPO法案が上程されることになっており、話題となること必至だ。NPOに寄付をした金額分は、所得税の対象外になるという、つまりアメリカ人は、自分の所得の処分について、国に再分配を委託するか、自分が価値があると思うNPOに寄付するか選択できるのだ。NPOの認定は財務省が行う。またNPOに政治活動は認められていないという(プレジデント5月号 神保哲生「NPOとは市民の利益を守る公益法人である」参照)。