エンパイア・ステート・ビル
1月4日(土)
7時起床。朝食をいただく。8時、TAXI到着。
別れを惜しみ、たいへんお世話になったお礼を述べつつTAXIに乗り込みナショナル空港に。9時、USエアシャトルに乗ってワシントン発。今度は座席指定で、ボーディングパスをくれた。10時、ラ・ガーディア空港着。着陸の時、あまりに滑走路と市街地が近いので、着陸に失敗するのではないかと錯覚して焦る。
さて、どうやってマンハッタンに行けばよいのか分からない。しょうがないのでTAXIに乗り、「エンパイア・ステート・ビルへ」と指示する。田舎者丸だしである。悪いか。10時30分、エンパイア・ステート・ビル到着。35ドル。
地下の切符売り場で8ドル出して切符を買い、エレベータで屋上へ。階下にNYの絶景が広がる。波止場にはQE2が泊まっている。思わず売店でコダックのワンタイム・カメラを買って全方向を撮影する。外人を捕まえて「撮ってくれ」といって摩天楼を背景に写真を撮るが、現像してみると顎から下しか写っていなかった。
さすがに30分も見ていると飽きてきて、ビルの外に出る。先週発見したTHE NATIONAL DEBT CLOCKをフィルムに収めようとして、PARK AVENUEを歩いて探すが発見できず。DELIに入って、ローストビーフを食べる。
12時、TAXIでリンカーンセンターに向かう。今日は「トスカ」のマチネである。少し早く着いたので、ショップに行って、またビデオを4本買ってしまう。きりがない。
1時、「トスカ」開演。トスカ役のマリア・グレギーナはたいへんよい。しかしカバラドッシ役はさっぱりいただけない。スカルピア役のジェームズ・モリスは安定していて結構だ。周りを見ると、あまり字幕装置を使っている人がいない。隣の人はミ・スクージとか言ってるので、イタリア系の人が多いのかもしれない。
さて、もう、ゼフィレッリの演出は、素晴らしいの一言だ。特に第1幕舞台装置の壮麗さ。サン・アンドレア・デラ・ヴァッレ教会はバロックの内装である。。幕切れでスカルピアが自分の野望を歌う背景に司祭や信徒など何十人もの人物が入ってきて、一幅の活人画をつくるテデウムは、人物配置の巧みさと絢爛豪華な人物群像に、息を呑まされる。
第2幕、スカルピアがカバラドッシを拷問しトスカ が恋人を救おうと葛藤する場面も、トスカの内面の葛藤を、閉塞感のある舞台装置でうまく表現している。第3幕のサンタンジェロ城のシーンは、前述のように優れた装置が劇性をいやが上に盛り上げ、トスカが城塞の上から身を投げる終幕は、彼女の高く掲げた細い腕と衣の翻りが目に焼き付いて離れない。右往左往する番兵の巧みな配置と動き方がその効果を倍増する。
照明も第1幕は白を基調とし、第2幕は赤、第3幕は青を基調としている。もう実によくできた演出であり、音楽、声楽と併せて2倍楽しむことができるわけだ。オペラが総合芸術である所以である。