11月10日
授業中、どやどやと外が騒がしい。国会議員(MPという)が視察に来ているという。教師は「彼らはエライ人ではなくて、われわれが代表として国会に送りだしている代表だ」とわざわざ説明する。さすが代議制民主制発祥の国である。
昼休みに歩いていると、VICKYとLIZが飯を食べているのを見つけて同席する。明日の昼、ロンドンに遊びに行く約束をする。
ソーホーのイタ飯屋で腹ごしらえをする。スパゲッティ£2.5。ハーフパイントビール£1。イタ飯屋だったのだが、イギリス人はアルデンテという言葉を知らないらしい。
いろいろと迷った末に、「スターライト・エクスプレス」を見に行くことにする。地下鉄でビクトリア駅へ。
切符は学割で£12.5 。コンセプトは、世界各国の列車の競争を、ローラースケートをはいた人間が表現するというものだが、さして深くもない話を、よくもまあここまで拡張して表現できるものだなあと思った。なかなか楽しめた。ラップ系の音楽が第2幕が始まるとすぐにあったが、「ニュー・スターライト・エクスプレス」と書いてあったので、この部分は追加されたのだろう。また、舞台装置もリニューアルしているに違いない。
アポロ・ビクトリア劇場は規模はそれほど大きくない劇場だが、一階席は8割の入りだ。たいしたもんだと感心する。
セットには、オペラ以上に金がかかっているだろう。一階と二階の客席の周囲にローラースケートが通行できる道を造り、一階客席中央にも小さなループを造り、客の周囲をぐるぐると役者が回ってスピード感を出すという趣向だ。さらに舞台中央の上から、可動の橋をぶら下げ、これをぶんぶん振り回して照明にも、レースの時の道にも使うという、実に良くできた舞台である。Oゲージの鉄道模型も客席の周囲に何台か走っているという芸の細かさだ。客はこれらの道を通って客席に誘導されるため、誘導のために多くの人員が必要となる。
これだけの装置を使って元を取るためには、長期間の上演が必要だ。この劇場では、既に15年やっているから、十分元は取れているだろう。外国にも輸出しているし。
それで考えたのは、金を集める仕組みが洗練されているこの国だからこそ、たっぷりと金をかけたミュージカルを造ることができるのだなということ。それと、一件の家を何百年も使うように、ある儲かる仕組みをいったん確立したら、それをぐるぐると回してとことん儲けようという、日本人とは根本的に違う発想だ。
10:30帰宅。