11月11日
DARIOがバンを借りてスコットランドに行く相談をしている。授業終了後、VICKYとLIZと電車に飛び乗ってロンドンへ。
トラファルガー広場横の飯屋で昼飯を食べて、ピカデリーからサイトシーイングバスに乗る。12ポンド。ガイドのおっさんはなかなか芸達者だ。今日はrememberance dayなので、ダウニング街に近い戦争記念塔には大勢の人が献花し(女王も日曜にここに献花した)、ウエストミンスター寺院の庭も献花で埋め尽くされている。今日だけは韓国人の振りをする。マーブルアーチでバスを降りて歩き、マークス&スペンサーへ。
5:00、ボンド・ストリートから地下鉄に乗ってハー・マジェスティ劇場へ。「オペラ座の怪人」のリターンチケット待ちの列に並ぶ。我々が9人目だ。6年前にマチネの列に並んだとき、「ああ、ロンドンに住んでいたら並ばなくて済むのにな」と思ったことを思い出す。しかし、チャンスがあれば見ておくに限るし、このミュージカルは2時間並ぶ値打ちがあることを私は知っている。
19:00、おっさんが切符の希望を聞きに回ってくるが、かなりぶっきらぼうな応対だ。まあ仕方ないだろう。切符を買うと、ロビーで学校の人間に会う。ホヨンと一緒に兵役に行っていた韓国人のジューン(彼は常に恋人がいないとかっこわるいと思っている)と、彼が追い回している長い黒髪のシリア人だ。VICKYに呼び出されてフェルナンドも来ていたが、彼は切符を入手できなかったらしい。
VICKYとLIZは二階席を、私は32ポンド払ってSTALLの席を買う。彼らが少しでも安いものを選択しようとするのは、ペソの通貨価値が低いからだとようやく納得する。しかも現金の場合、一度ドルに両替してから、それをポンドにしなければならないそうだ。かわいそうな話だ。「腐っても円を実感」。前から7列目ど真ん中という最高の席が手に入った。
時間がないので、3人でマクドナルドに入り腹ごしらえする。19:45開演。
素晴らしい舞台と音楽を堪能。やはりこれは最高のミュージカルである。既に見ているので仕掛けは全部わかっており、その分驚きは少なかったが、冷静に観察することができた。
この作品の成功は、究極のドラマ性を感じさせる舞台設定の妙にあるだろう。オペラ座という都市の中の「ハレとケの同居する空間」、怪人、オペラのブリマ、恋愛劇、劇中劇、各々の心の中に住む「幽霊」、19世紀のパリの文化、仮面舞踏会……と並べれば、「劇性」のオンパレードである。そこに文句の言いようがない音楽が付いていれば、後は役者をそろえるだけだ。
舞台転換のすばやさは、じっくりと見ることができた。見事な仕掛けの数々である。しかし、演奏や歌唱に関しては、どうしてもCDとは開きがある。評判はNYの方がいいので、ひょっとしたら、この辺がNYの方が優っているのかも知れない。聞き比べていないので何とも言えないが。
終幕の辺りの怪人の演技は素晴らしい。みんな怪人に同情して泣いていた。なんともすごいミュージカルである。
ジューン、シリア人女性と合流して電車に乗って帰る。23:30着。