12月5日
3時間目にWAYNEが理解度を調べると言ってテストをする。クラスのメンバーの名前が質問に織り込まれていて、なかなか面白いテストだった。
授業終了後、着替えして、ケバブを駅でパクつきながらロンドンへ。モニュメントを見て、歩いて三菱総研に向かう。2:30、三菱総研ロンドン事務所長の浜のり子さんに会う。彼女はBBCのコメンテーターとして有名だ。頭の回転が速くてきぱき喋る人だ。
以下のお話が面白かった。
「EUのリーダーシップとは何か。日本では安全保障がリーダーシップを語るときに重視されるが、欧州では全く問題にならない。日本は軍事力を持たないから重視されるのではないか。欧州はかつて長い間弱肉強食の争いをやってきた。多くの強国の没落を見てきた。だから軍事力というのが不滅ではないことを認識している。物質的な軍事力を信用していない。
外交とは、知恵で自分より力を持つ相手をやっつけることなのだ。したたかな演説で、公開されている意思決定過程で結論を自分に有利なように誘導していく。それがEUにおけるリーダーシップなのである。
こうした外交上で圧倒的な影響力を持つためには、全体の中に埋没してしまってはいけない。決して迎合せず、断固としてひねくれ者をやるという役割を、イギリスはEUの中で一貫してやってきた。今回のドイツとフランスの政略結婚(ユーロ統合)にしても、仲違いしたときに間に立つ仲人がどうしても必要になるはずだ。欧州中銀のフランスの人事案などをみるとそうした見方も現実味を帯びてくる。
4:30、野村総研ヨーロッパ社長のWさんに会う。疲れている様子で、あまりまともな話はできなかったが、彼の著書は素晴らしい内容だ。珍しくきちんとした文章の書ける人で、情報収集力もある。
6:00野村を後にして途中書店に立ち寄り、そこからCAMBRIDGE劇場に向かい、「GREACE」の切符を買う。学割で£12.50。近所のイタ飯屋でスパゲッティを食べるが、これがまたひどい出来だ。いい加減腹が立つ。
「GREACE」は1959年のアメリカの高校を舞台にしたもので、誰が惚れた腫れたくっ付いたという話で取り立てて記録するべきものはないし、あまり集中していなかったので会話の内容もよく分からない。しかし、ダンスは見応えがある。
ビクトリア駅に出るが、DARIO兄に呼び止められた。兄弟は電車がキャンセルになったと言っている。「7番線の急行で帰ることができる」と教えてやるが、彼は信じていない。私はかまわず急行で帰る。
途中、トランクを抱えたイタリア人がワインをふるまい始める。彼女が日本人で東京に住んでいて、行ったことがあるという。飲んでみると確かにうまい。なぜか酒盛りが始まってしまった。間違えて2つ手前の駅で下車し、寒い中30分電車を待つ。
ベッケンハム・ジャンクションの駅から歩いていると、ミゲルに呼び止められる。これからダンス・クラブに行くが来ないかと誘われる。明日があると言って断る。さらに向こうから大勢人が歩いて来るなあと思っていると、全部学校の生徒である。「ぜひ来い」と無理に連れて行かれそうになる。勘弁してくれ~。
カズ(カザフスタン人の女性)によると、パブ・クロックハウスで飲んでいて、移動するのだそうである。なんとも暇な連中だ。カズに「すみません。勘弁して下さい」と言って許してもらう。「まだウチの生徒が来るよ」と教えてくれたので、回り道をして帰る。まったく手間がかかる。11:55帰宅。