12/23 ローマ
8:00起床。TVでウォン暴落のニュースをやっている。
ホテルで飯を食べて、9:30、ホテルの前の通りを歩いていてすぐに小さな旅行代理店発見。シエナのホテルを頼む。
英語のできる親切なお姉さんが、「JOLLYホテルというイタリア最大の4つ星ホテルチェーンで、1泊L170000リラだが、連泊すると1泊L100000になる、しかも夕食付きだからこれにしろ」と奨められる。
ピサの方も聞いてもらうと、1泊L85000だという。「これは凄い、信じられない」といって一人で興奮している。あんたが泊まるんじゃないんだって。 ピサの方は断ってシエナの2泊をブッキングする。お姉さんは一人で残念がっていた。
さて、バチカン美術館に行こうとバスに乗るが、バスはあさっての方向に。勘を頼りに、迷いつつテルミニ駅に戻る。シエナ行きの2等車の切符を買う。L22000と、もう限界的に安い。国鉄のインフォメーションで、ひつこく時間と乗り換えを確認する。
さっきの代理店のバウチャーを確認すると、ホテルの名前がピサのJOLLYホテルになっているので、テレホンカードを買って代理店に電話し、これについても確認する。お姉さんは余程1泊L85000に未練があったらしく、間違えてそっちの方を書いてしまったのだった。クリスマス前なので、みんな浮き足立っている。ホントに世話が焼ける。
ツーリスト・インフォメーションでトラフィック・マップをもらう。バチカン美術館の入場は確か正午くらいまでだったと記憶しているので今日は諦める。64番のバスでベネチア広場へ行き、広場前の店に入ってサンドウィッチを頼む。これで準備OK。いよいよフォロ・ロマーノへ出撃だ。
アウグストゥスのフォーラムの方の入り口から入る。入場はタダである。
入り口を入ったところで机を出してやっているイヤホンガイドを借りる。L6000。日本語はないので英語にする。カタに学生証を置いていく。どういうイヤホンガイドかと思ったら、単なるカセットテープレコーダーをヘッドホンで聴くのである。これが効果音が入っていてなかなか楽しい。
まずカエサルの荼毘の跡を見、元老院を見、カエサルのバジリカ、ヴェスタの神殿の順に回っていく。
古代ローマの政治、宗教の中心であったここは、当時の世界の中心である。再びこの地を踏むことができただけでも感慨無量である。
われわれは、ブルータスがカエサル追悼の演説をした演壇を見ることができるし、幾多の国事が審議評決されたであろう広場や議場を見ることができる。戦利品と奴隷と得意満面の兵士達を乗せた凱旋の戦車が幾度も通過したであろう、そしてあのカエサルやマルクス・アウレリウスが歩んだであろう同じ道を歩くことができるというのは、まさにこの世の奇跡である。
まあとにかく、世界史の中でもユリウス・カエサルは真に偉大な英雄だと思う。そうした人物を輩出したローマは素晴らしい国家であったと思うし、彼と同世代を生きることができた人々はほんとうに羨ましいと衒いなく言うことができる。
この地は私にとって全く神聖な場所である。
ただし5年前に比べると、修理中の場所が多く、ヴェスタの巫女の家など入ることができなかったのは残念だ。景気がいいからだろか。聖年に向けての化粧直しか。
ゆっくりと、古代の大理石に腰掛けて英雄達に思いを馳せた後、2:30、カピトリーノの丘へ。ミケランジェロがデザインした市役所前の広場を見る。視覚的に素晴らしい効果を持つ広場だ。ここから下へ降りる階段の幅といい、傾きといい、色彩といい、イタリア人の美的感覚には敬服するしかない。また、この広場の中心にマルクス・アウレリウスの騎馬像を置いたミケランジェロの感覚も素晴らしい。この騎馬像の本物はカピトリーノ美術館にあるのだが、照明の具合が悪くてガラスに反射するので、どんな角度から眺めてもよく見ることができないのが残念だ。
この階段を下りて、再びその隣の階段を上り、サンタ・マリア・イン・アラチェーリ教会へ。バジリカ形式の教会である。天井が素晴らしく美しい。祭壇横にあるサン・バンビーノの像に詣でる。この赤ん坊の像は、病人を見舞って治癒するという数々の奇跡を起こしている。今世紀に入ってからもイギリスのバチカン大使の腸チフスを治したのだそうだ。