12/24 ローマ
バチカンから64番のバスに乗って、爆睡している間にテルミニへ。4:00、そこからLINE Bの地下鉄に終点まで乗ってEURに向かう。
この街はムッソリーニがつくった人工都市である。地下鉄の中で日本人の新婚旅行者を見つけ、ローマ文明博物館の位置を確認する。ここにある古代ローマ市街の大規模な復元模型を拝んでみたいというのが果たせぬ夢であったのだ。
広大なEURには、テレビ局や政府機関の巨大なビルが古いものから新しいものまで並んでいる。しかし、さすがにクリスマス・イブなので人影は少ない。人に訊ねつつEURをさまよって、5:30、やっとギリシャ式列柱が特徴的なローマ文明博物館にたどり着くが、閉館している。クリスマスだから当然か。たいへんな無駄骨を折ってしまった。
バス、地下鉄、バスと乗り継いでホテルの近くに帰ってくる。「もうプレゼントを買う時間が無いなあ」と途方にくれていると、露店の花屋があった。これ幸いとL40000で花束をつくってくれと頼む。とんでもない巨大な花束ができあがった、よしよし。
ホテルのフロントで[大陸~イタリア]のコネクタを借りる。これでばっちり充電できる。どうして今まで気が付かなかったのだろうか。パソコンに充電しつつシャワーを浴び、ネクタイを締めジャケットを着て6:45ホテルを出る。
すぐに流しのTAXIをつかまえて、Sさん宅へ。食前酒を飲んで8:00、食事のためにダイニングへ。ダイニングセットの外観はイタリアなのだが、中身はすべてドイツ製である。そして部屋の中央に置かれた特注のテーブル、これはローマの遺跡から発掘された色大理石をちりばめたもので、とくに赤大理石はローマ時代特有のもので、今はないのだそうだ。Sさんは出来映えが気に入らず、一度ダメ出ししたが、それはイギリス貴族が買っていったそうだ。
前菜はノルウェー産のサーモン。ローマの田舎パン。そしてメインの子羊の蒸し焼きは味付けが見事で、肉も素晴らしく柔らかい。非常に美味しい。リペッタ通りの「ハンニバル」肉店だと聞いて大笑いする。食器は鉄器を使っておられる。これは面白い。
トニー君を交えた食事は楽しく、黒澤明の御殿場の邸宅で、ジョージ・ルーカスが遊びに来るという日に、コッポラとスパゲッティづくり競争をやったという話は凄かった。トニー君は黒澤監督にずいぶんかわいがられているらしい。
0:30、「あっ、そろそろバチカンのミッドナイト・ミサに行かないと……」と冗談を言うと、「じゃあクリスマス・イブのローマを散歩しましょう」とSさん。リペッタ通りからナボナ広場へ出る。広場ではまだカルーセルが回っている。
この広場より南側が帝政期の建物が残っている地域だそうで、この辺りに住むことは古代ローマの雰囲気を知るのにベストなのだそうだ。ミサ帰りの人は意外と少ない。観光スポットでも何でもないのだが、ファルネーゼ宮まで歩いて入り口の脇に腰を掛ける。「日本の建築のいけないところは、こういう座れるところがないことよ」。
歩いてナボナ広場を縦断し、アウグストゥス廟へ。ムッソリーニが建てた鞘堂の前に行って腰を掛ける。「ペルガモン神殿と比べてどう思う?」「ベルリンで見ましたが、あちらの方が豪華ですよね」「だから古代ローマは質実剛健だったのよ」。
2:30、Sさんを家までお送りする。「また来なさい」「そんなこと言ってるとホントに来ますよ」。
もう地下鉄が終わっているのでゆるゆると歩いて帰ろうと思い、ポポロ広場からスペイン階段を横切り、バルベリーニ広場に近づいたところでさすがに体力が限界に。これではベネト通りは上れない。たまたまTAXIが走ってきたのでつかまえてホテルに帰る。ホテルで早速パソコンを接続しようとするが、内線からではダイヤル接続できないのであった。最低。4:00就寝。