困った出版社の事業再構築(2)
運営者 そこで社長は次のような事業再構築プランを考えました。
○適正規模人員は200人である。辞めてもらえる人には、退職金の積み増しをしてでも辞めていただきたい。
○編集部門には、大幅な能力給を導入し、他社から有力な編集者を引き抜いてきたい。
○あらゆる手段を使って人件費コストを大幅にカットし、強い収益体質をつくり、株式公開するかどこかから資本を引っ張ってきて、合併効果のありそうな会社を買収する。他のメディアとも提携して、業界再編成の核になる。
それともう一つ、ここのグルメ雑誌がグルメ関係のウェブサイトをやってて、ここがまあ結構、一日に百万ページビューあるとすると、このサイト部分だけ切り離して、トラッキングストックで株式公開しちゃうというふうなことが可能でしょう。
そうすると、まず公開でお金を得て、かつショップというのをやったり、あるいはカタログをつくってみるとか。この三位一体で経営する、サイトと雑誌と、実際のリアルの世界でやるっていうのが、サイト関係でのマーケティングの基本なんですけれど。そこを目指すことができる。
だから、一番有望な部門は、実は、今の段階だとこのサイトの部門になるんです。そうするとここに結構優秀な人材を投入したいし、外から取ってきてもいい。そういうふうなことが出来ないかなと。
それから編集部門と販売部門の間に給与格差を付けることができないかというのがもう一つの課題です。編集部門は死ぬほど働いているんですけれど、出版社の販売部門ってどちらかというと楽なんですよ。定型仕事ですからね。それでも給料は同じで、残業代ぐらいしか違いがないというとあまりにも困っちゃうなと。
面白いのは、給料が違わないのにも拘わらず、編集部門には経費が認められているんで、その分で販売や広告の人っていうのは、「編集は経費が自由に使えるからツーペイになってる」というふうに思い込んでたりするわけですよ。
編集部門は編集部門で不満があると。だから、こういうところを変に平等にしておくんじゃなくて、格差を付けたほうがまだ話ははっきりするんじゃないかと思うんですけれど、今のところそうなっていない。
そこで、編集部門にはちゃんと大幅に能力給を、つまり能力格差に応じて給料の格差を付けるような感じに出来たらいいなあと。あと販売部門はアウトソースしちゃうか、逆に強化して他社の販売も請け負うか、あるいは別会社にするっていう、ざっくりした外科手術をやることが出来たら、やりやすいんだろうなっていうふうには思っているわけですね。
それをやっておいて、鳴かず飛ばずのグルメ雑誌とかパズル雑誌なんかでも、外から人材を引っ張ってきたならば、もうちょっと大化けするかもしれないなあと、いうふうなことも考えたいと。そんな感じで人間を減らしつつコストも減らして、一方でグルメサイトだけ別会社にして株式公開して、そこで得た収益金を使って他の会社を買収すると。
そういうふうにして、一手に攻勢に出ることができないかなというふうにここの会社の社長は考えたと。こういうふうな考え方をしている社長が出版界にも確かに若干はいます。実際、そうやってる会社もあるんですよ。
さて、どこから手をつけたらいいもんでしょう?