ビジネスとして成り立っているかどうかが問題だ
運営者 この出版社の経営者は、事業のリストラクチャリングを何となく自分で考えたわけなんですけれど、それは基本的にやっぱり、頭の中で「このビジネスは採算が成り立っている、成り立ってない」というところからスタートしているわけです。ですから、この出版社でいけてるのは週刊誌と、それからトントンなのはグルメとパズルだけで、あとは全く駄目なんですよ。
サイトっていうのは、今は儲かんないけど、ただ公開したらキャピタルゲインが得られるっていうだけなんですね。そういう意味では本当に悲惨な状況にあるわけです。こういう会社はどういうふうにして生きているかっていうと、オーナーがお金を持っているわけですよ、過去の資産を。それをオランダ辺りで適当に回してて、それで食べているっていう。
田中 それは、そういう資産運用部門みたいなのがあって、その部門の収益を駄目な部門に補助金として渡して、社会保障的に支えているって、そういう仕組みなんですよ。
運営者 しかも、社員もその仕組みがわかっているもんですから、「いやーなんか、本当にやばくなったら社長が金出してくれるよな」っていうのが合言葉になっている。
田中 まず、そこを止めることですよ。
運営者 「それはもうないよ」と言って、その後に、分析する手法があるわけですか、そういうふうに切り刻んで。
田中 別に手法があるわけじゃないけれども、ビジネスの最小単位、その切り刻んでいった一つのユニットの中に、「これは儲かっているけど、これは儲かっていない」と、そういう部分がないところまで、切り刻んで考えてみるということですよ。だから、雑誌編集部門なら雑誌編集部門とか言って括っていると、違いがあるとわかんないでしょう。
運営者 ええ、わかりません。
田中 書籍編集部門はもっとよく分らない。
運営者 たまにホームランが年に一回ぐらい出るんですよ、10万部ぐらい。
田中 それは、どう考えていいのかよくわかんないけど(笑)。誰か優秀な人が必ずホームランを打ってくれて。その人だけだったらとか、そういうことはありますよね。
運営者 おっしゃる通りです。
田中 そしたらそこはまた分けなきゃいけない。
運営者 確かにこの会社の中でも、書籍の編集者でもスタープレイヤーがいて、この人なんかは必ず年に1冊は10万部というホームラン、一冊は5万部というヒットを飛ばすんです。
田中 そういう人がいるんだったら、要するに、違うものは違うっていうふうに、区分けしなきゃいけないわけだから。そういう人もひとつのビジネスチームとして分けて考える必要があります。