「儲け方」に応じたリターンが当たり前
運営者 ですけど、それって日本の文化にはなかなか馴染まないですよね、田型に机が並んでて、そのスタープレイヤーもその中の一つに入っているわけじゃないですか。そうじゃない人たち、ぶら下っている人たちも同じような顔をして、同じ発言権を持っていると思っているわけなんですけれど。
田中 確かに馴染まないと思います。例えば、この四月から三菱商事は制度を変えたけれども、あそこの制度の場合ユニークなのは、総合商社だから、あらゆる業種と関係があって、あらゆるパターンがあるわけですよ。。
だからこの出版社の販売部門のところなんかのイメージで言うと、鉄鋼なんかまさにそうですね。三菱商事の鉄鋼といっても、売り先が新日鉄しかいないわけですから。あとは三菱自動車。そしたら何で必要なんだと話になるわけですよ。でも、新日鉄の方にも三菱商事の方にも、ずっと百年ぐらい昔から営業とかいって、お互いに接待し合っている人たちがいるわけですよね。そういう人と、例えば衛星通信のビジネスで儲け始めている人とか、そういう人も同じ評価、同じ処遇だったわけだけども、それを今回切り離したわけですよ。
で、実際鉄鋼の場合だとロー・リスク、ロー・リターン。eビジネスみたいな伸び盛りのビジネスだったら、ハイリスク、ハイリターンになるように、その仕事の性格、状況、ビジネスサイクルに応じて全然違う報酬評価になるようになことを目指したんですね。
ただし、大企業だから、今、あなたがおっしゃったように、一朝一夕には変えられないところもある。例えばその基本給みたいなものとか、それから大まかな資格制度みたいなものを作る。そういうところの共通部分は一応作るけど、基本給なんかの比率を、昔に比べれば大幅に下げて、共通で固定的な部分の比率はすごく小さくしておいて、仕事別とか、業態別とか、ビジネスサイクル別とかっていうので、変動する部分の比率を大幅に高めるわけです。三菱商事の場合だと、そこに先物取引のディーラーとか、そういう人がいたりするわけですね。
そういう人は年収が何千万円、30歳で何千万いくというようなケースもあるけど、一方で鉄鋼部門の人たちみたいに、仕事は接待だけっていう人が、もう55歳になってもね、2000万に届かないぐらい、となるようにしたわけです。そういうふうに、そのビジネスの、一言で言っちゃえば「儲け方」に応じて、リターンされて当たり前だろうと。
そういうふうになってこそ、むしろ公平なんで、みんなが同じだっていうのが公平じゃないんだっていうふうに考え方を切り替えなきゃならない。そうすると、そういうふうに切り替えていくためには、どことどこが違うんだっていうのが分るように、一旦切り刻まなきゃいけないわけです。