リリースコストは「生涯給与の3分の1」分
運営者 じゃあ、非常に理想的に考えて、御社の助けも借りて、そういうふうに全ての腑分けをやって、それで「職に関して必要な能力と、それから期待されるリターンと、それから報酬について」の一覧を作って、それに基づいて社員にアプライさせたとしましょう。で、抜けてる部分もあるわけですよね。それはどうします。
田中 すぐに対応できる人が足りない、いない。その場合はもう、外部から連れてくる。
運営者 今度は、あぶれちゃってる人がいますよね。これはどうしましょう。
田中 そこは、本人が納得するかどうかは別とすれば、メカニズムとしては、さっきリリースと言ったけれども、リリースできる仕組みを作るわけですけどね。それは簡単に言えばお金ですよね。
運営者 具体的に、一般的にはどんな感じで考えたらいいですかね。
田中 その人がその会社に対して期待してた、長期的なリターンっていうのが、何かあるんです。期待利益みたいなものが。それが裏切られるわけだから。期待してたものになるべく近いリターンをいっぺんに出してやる。というようなことですよ。
運営者 それは現在価値に割り戻してですよね。
田中 そうそう。そうすると、最近よく言われるのは、中高年の場合だと、残りの定年までの人生が10年あるとすると、3分の1ぐらいの価値の部分をいっぺんに貰えれば、まあ、会社を離れられるそうです。
運営者 そういう相場なわけですね。ということは、経営者としてトータルに考えると、このまんま続けていったならば、これから10年の間に払わなきゃいけない給料のトータルの3分の1を出せば、全社員を解雇することができるというのは理論的にはあるわけですね。
田中 はい。そこは多分、うまく話を持ち出せば、お金の面でそのくらいの負担を覚悟すれば出来る。
運営者 3年分の年収ですよね。でも、全員解雇する必要ないわけで。だから3分の1というのは、ある程度余裕のある会社であれば、不可能な金額ではないわけですね。
田中 だけど、リリースすべき人たちが精々、全社員の2、3割とすれば、それでまたその3年分というぐらいの金額は、まあ……。
運営者 おそらく丸々1年分の売上げぐらいになるのかな。もうちょっと少ないですかね。
田中 いや、それは少ないでしょう。
運営者 そうですよね。
田中 例えば、10年分の年収だとして、一人3、4000円万上積みするとして、まあ、大目にみて5000万としましょうか。で、300人の社員のうち大幅に100人。
運営者 100人減らせばもう、高収益企業ですよ、すでに。
田中 そしたら100人の一人5000万円として、50億か 。
運営者 はい。この会社は売上げ的には、まあ250億かそこらはある筈ですから、そうでしょうね。
田中 そういうのを特別損失で出して、ウミを出してしまって、というのは充分考えられる。だって、売り上げに対して、せいぜい20パーセントとか30パーセントとか、そういう比率だとすれば、結局駄目な構造をそのまま残しておいて、もう赤字を出しながらなんていう状況を考えればね。