別会社にしなくても、給料体系は変えられるはず
運営者 じゃあそれでリリースも出来ると。さっき言ったように、全ての仕事を分析して、人もそういうふうに当てはめると、いうふうにやったら、別会社化ということも、全然不可能じゃない。
田中 そうですね。だって結局、さっき最初に言ったどんぶり勘定をやめて、ビジネス別に、何せ一番細かく分けて……、というシュミレーションを頭の中でまずやってみなきゃいけないことだけれども、それで「ここは金の成る木だ、ここはダメ犬だ」と分析して立て直し策を考える。
目的がはっきりしてると、「それじゃあこういうビジョン、あなたは一つのビジネスとして、別会社でやってください」というところまでは、あと一歩ですよ。
別会社にしてもしなくてもいいとは思うけども、基本的にはやっぱり一つの会社になっていたほうが、実績が与えられた権限以上に進むし、そこのビジネスユニット長になった人が別会社の社長になるわけだから。単なる課長とか、そういうのよりかは、その気になる可能性も高いし。
運営者 もう一つは、別会社化することによって、まったく違う報酬体系を導入することが出きると言われているんですが。
田中 そもそもそれは、さっき言ったみたいに同じ会社の中でもやんなきゃいけないけどね。それは別会社じゃないと出来ないと、今まではみんな思っていたんです。
運営者 そうなんですけど、それっておかしいと思うんですよね。
田中 それは別会社にしなくたって、仕事によって違うんですから。というような考え方は、欧米では普通ですよ。
運営者 だから、今は「別会社にしたらば、給料体系も変えられる」と言っているのは、今言ったような腑分けをして、それで社員にアプライトさせて事業を立て直すっていう手間をかけたくないから言ってるだけじゃないかと思うんですね。
田中 それで、たいてい別会社化するのって、何かその「ダメ犬」のところの話なんですね。
運営者 最初はそうですね。ところが、今回例えばTBSなんかそうなんだけど、、制作部門を別会社にしちゃったんですよ。だから、「一応スター的な部分も別会社なんだよ」、っていうふうなところまで、今いってるんですよね。
それはおそらくは、「今度は、高額の報酬を与えることも出来ますよ」みたいな感じで、人を引っ張ってこれるっていうのが、念頭にあるっていうところまでもう一歩、進んで来たのかな。
田中 あと、今の状況だともう一つ考えられるのは、そういう会社だとすれば、それこそさっきみたいに株式公開に向けて、別会社の価値を高めていく、なんてこともあり得る。
運営者 そうすると、ここを伺いたいんですけど、グルメ部門で、ウェブのサイトをやってる部門というのは、まあせいぜい2人か3人でやってたりするんですけど、でも、このグルメの情報内容っていうのは、実はこの編集部に依存してたりするんですよ。だからサイト運営の方は3人だけで出来るわけです。
で、サイトには実はこの雑誌よかものすごくお客さんが増えていたりするわけです。こういう場合は、これはもう別会社にして、公開したいのは山々なんですが、まあ、情報だけ貰えるルートをつくっておけばいいのかなあ。
田中 よくわかんないけど、それが例えば、今のグルメの雑誌の方は、実はもう旧メディアであって、いずれウェブに置き換わってくるんだとしたら、もう雑誌とウェブ一体で一つのビジネスと考えた方がいいのかもしれないし。
あるいはそうじゃないんだとすれば、やっぱり紙メディアとウェブじゃ全然違うビジネスだからっていうのがあって、両方ともなおかつ活かせるんだとしたら、その雑誌の方から、ウェブの方はいわばコンテンツを買ってるわけだから、ちゃんとトランスファー・プライスっていうのを決めて、その価値に見合う値段で、情報開示するんですよ、ウェブの方から。
それでそのグルメ雑誌の方は、情報価値から、新たにそういう現金収入が見いだせるというのがいいでしょう。