ビジネス・ユニットの区分けは難しい(1)
運営者 経営者としては、ウェブサイトが今後どうなっていくか、現状として判断がつかない場合は、「なるべくその選択肢を狭まらせたくないな」というふうに思うでしょうね。
田中 だからといって、そのどんぶり勘定が続くのはやっぱりよくないから、一つの構想としては社内取引をするというのがあるでしょうね。
運営者 社内取引みたいな考え方って、大企業は結構やってるみたいなんですが、出版社の中ではまたこれがいいかげんなわけですよ。適当に付け替えたりして、つじつま合わせをやって訳をわからなくしている。「ちよっと、この分そっちにつけといてもらえないかなあ」なんて。
田中 もう社内取引のようなノウハウは、世の中にはいっくらでもあるのね。例えば我々の業界なんかは、それはロイヤリティーという形で払うという方法もある。そういうウェブの場合だって、例えば、その情報のヒット数に応じて、ロイヤリティーを払うっていうような契約をつくって、ということが出来ますよね。
運営者 ページビューがどれぐらいあったかによって、雑誌の方に払われるお金の金額が変わるっていうことですね。そうすると、お話を伺うと、一番最初の腑分けのところだけをちゃんとすることができれば、何かできそうな感じが。
田中 絶対にミソもクソも一緒にしないというのに徹して、最初のところで切り刻んでよく見てみるのが大事です。特に書籍編集部門なんか、全体としてみると駄目な部門だよね。
運営者 本来的には、誰がどの本を作ったかは、きわめてはっきりわかっているわけだから、腑分けができるはずなんですよ。ところが面白いのは、雑誌で連載した企画を、ただまとめてるのが仕事の人がいて、それがまた結構売れてたりするわけです。
田中 どうして書籍って高齢者が多いんですか。
運営者 雑誌で働かせて、使えなくなった奴を書籍に移すようにしてると。
田中 書籍の方が楽なんですか。時間に追われてないからかな。
運営者 雑誌はやっぱり、締め切りもそうだし、あとは外を歩かなきゃいけないし、それで夜は深夜残業がありますよね。結局それをやり終えた人間が、「ご苦労さまでした」というポストとして書籍編集部門があるという側面があるんですよ。だから、ある種の、彼らにとっての上がりポストで、ご褒美のような感じだったりするわけですね、定年までの。経営側に行かなかった成功した編集者の生きる場所と。
でも結局それは、会社にとってはお荷物でしかないし、おそらく彼が過去に果たした貢献以上のものを現在得ていることのほうが多かったりすると思うんですけど。そこのところはちょっとよくわかりませんけど。
田中 その価値をどう見るかというのは、難しいですよね。
週刊誌なんかのネタで売れてるだけの本は、もう、最初からはっきりしてるんでしょう。それはもう週刊誌の方のビジネスの一部ですよね。
運営者 そうですね。
田中 それはむしろ雑誌編集部門と一緒にしちゃえばいいかも知れないですね。