闇討ちすりゃあ返り血を浴びる
運営者 ところで組合っていうのはどういうふうに動きますかね、これをもしやるとしたら。組合があるんですよ、この会社。
田中 出版業界はね。
運営者 一般的に組合というのは、もし会社側からこういうふうな動きが出たとしたらば、どういう態度を取るものでしょうか。
田中 一般的には言えないけど、はっきり言えることは、闇討ちすりゃあそれだけ返り血を浴びるわけで、やっぱり非常に前広にというか、社員を巻き込んで、例えば、「こういうビジネスはこういう状況にあって、これはもう、今後やっていけないんだ」とかね。そういうところから情報公開して、一緒に考えさせるというふうにでもやんなかったら、それは駄目ですよね。
少なくとも日本の組合っていうのは、「会社が倒れちゃったら元も子もない」っていうあたりは、最低限押さえとしては持っているわけですから。共産圏の国だとかアメリカみたいに、そういうのもないっていう組合はあるけど、日本の場合はそこが違いますからね。
運営者 ただ、出版社というのは、基本的に共産圏に近いわけですよ。なぜならば、オーナーからの売上補填があったりするわけです。そうすると、潰れないんですよ。なぜならばオーナーが金を出せばという、資本家収奪という理屈があってですね(笑)。
そうすると、「オーナーは自分の財産を補填するために、このような大リストラクチャリングをやろうとしてるんだ」っていうふうに煽ることができるわけです。
田中 もしそうなったら、オーナーはもう会社を手放すんじゃないですかね。あるいは、最近アメリカなんかでもよく出てきてるのは、マネージメント・バイアウトと言って、もう社員に渡してしまうと。「そんなに言うんだったら、自分でやってみたら」と。
運営者 そうですね。だから、この辺が本当に古い出版社というのは、オーナーとそれから現経営陣の関係性というのが、極めて微妙な睦みあいになっちゃって、そんなにきっぱりしたことはなかなか出来ないような感じになっている。
まあしかし、実際に日本の会社で、こういう大手術をやるということは、ありますでしょうかね。
田中 例えばGEとか、ああいうところというのは、こういうのに似たことをずっとやり続けて、現在に至っているわけだから。
運営者 社内文化になっていますもんね。まさにポートフォリオ・マネージメントをやってるわけですけど。だからその文化というのを移植すればいいということになるんですかね。
でも現状はやっぱり、日本の会社というのは、社員にとっては生活の場なんです。
田中 欧米と差があるとすれば、やっぱり本当の意味の、「資本家資本主義」にはなってないわけだから。
運営者 なっていませんね。
田中 だから、それを考慮すれば、組合員も含めて、社員を何らかの形でステイクホールダーとして参加させて、それでこういうような組み直し、言葉の本当の意味でのリストラというか、リバンドリングというのを社員たちに考えさせると。